2005 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌におけるコネキシンの発現の検討と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
17791213
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
小澤 宏之 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 研究員 (30327621)
|
Keywords | 頭頸部癌 / コネキシン / 免疫染色 / 細胞培養 |
Research Abstract |
研究目的 頭頸部癌組織におけるコネキシン発現の状況を把握する。現在まで頭頸部癌組織におけるコネキシン蛋白の発現について報告がほとんどなく、臨床検体を使用し頭頸部癌組織においてどのようなコネキシンが発現しているかを、免疫染色法を用いて検討する。そして頭頸部癌組織に発現するコネキシンのうち、腫瘍の増殖に関係する可能性のあるコネキシンを候補として選出する。 研究方法 頭頸部癌組織における免疫染色。 頭頸部癌手術患者より組織検体を採取する。この際に、肉眼的に分かる範囲で正常組織と癌組織の境界を含むように採取する。パラフィンに包埋したのち薄切し、コネキシン抗体を用いて免疫染色する。特に癌組織と癌周囲組織におけるコネキシン蛋白の発現を比較する。 現在までの進行状況 頭頸部癌組織13検体(舌癌4例、下咽頭癌4例、中咽頭癌3例、口腔底癌2例)においてコネキシン26およびコネキシン30の発現について免疫染色にて検討した。 癌組織周囲の正常粘膜ではコネキシン26は粘膜の全層(表皮と同様に評価すると深部から基底層、有棘層、顆粒層、角質層)で発現が認められた。特に基底層での発現が強く、上層に向かって減少していた。コネキシン30は基底層では殆んど発現がなく有棘層に非常に強い発現を認め、上層になるに従い発現が減少した。 癌組織と正常粘膜とを比較すると、コネキシン26では両者に発現量の明らかな差は認めなかったが、コネキシン30では正常粘膜に比較して癌組織でのコネキシン30の発現は低下していた。この差は下咽頭癌で顕著であったが、舌癌の検体では症例によりその差がはっきりしないものがあった。癌細胞内のコネキシンの分布は、コネキシン26では細胞質に瀰漫性に発現した。コネキシン30は下咽頭癌では細胞膜に発現する傾向があったが舌癌では細胞質に強く発現する細胞とほとんど発現のない細胞が混在するという特徴があった。
|