2005 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫随伴網膜症の分子病態の解析とその臨床応用
Project/Area Number |
17791215
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山崎 仁志 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (00374835)
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Keywords | 悪性黒色腫随伴網膜症 / 網膜変性 / 網膜光傷害モデル / 網膜電図 / ロドプシンリン酸化 |
Research Abstract |
悪性黒色腫随伴網膜症(melanoma associated retinopathy, MAR)は、皮膚の悪性黒色腫に随伴する網膜症であり、遺伝的に網膜変性を生じる網膜色素変性や機械的傷害で引き起こされる光傷害網膜変性と病態に類似性がみられるものの、いずれも詳しい病態は不明である。そこで基礎実験として、同様に網膜変性を生じる網膜光傷害モデルを用いてその病態を解明した。方法は、生後3週令のSprague Dawley(SD)ラットとBrown Norwayラットの2種類の正常ラット及びRCSラットに対し照度650〜5000luxの白色光を24時間照射した。光照射後、網膜を摘出し、網膜切片を作成し、視細胞層の厚みを測定し、組織学的に評価を行った。網膜機能の評価として、光照射後1日目、7日目に24時間暗順応後に網膜電図を測定した。網膜において光照射により直接的に影響を受けるロドプシンのリン酸化及び脱リン酸化のサイクルの評価を、ロドプシンのリン酸化部位である334Ser、338Serに対する特異抗体を用いた蛍光免疫染色にて評価した。ロドプシンの再生は吸光スペクトラムを利用した方法を用いて検討した。その結果、正常ラットおよびRCSラットにおいて、光ストレス依存的に網膜機能が低下していた。ロドプシンの脱リン酸化速度は正常ラットでは光照射で著明に遅延するが、RCSラットでは光照射の有無によらず正常ラットに比較して著明に遅延していた。RCSおよび正常ラットのどちらの場合でも、光ストレスがロドプシンの再生に影響を及ぼさなかった。 今回の結果から、網膜光傷害とRCSラット網膜変性においてロドプシンのリン酸化状態が過度に継続するという分子病態に共通性がみられ、この病態に引き続いて網膜変性に至ることが考えられた。
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