2006 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫随伴網膜症の分子病態の解析とその臨床応用
Project/Area Number |
17791215
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山崎 仁志 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (00374835)
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Keywords | 悪性黒色腫随伴網膜症 / 網膜変性 / 網膜電図 / RCSラット / Ca拮抗剤 |
Research Abstract |
悪性黒色腫随伴網膜症(melanoma associated retinopathy, MAR)は、皮膚の悪性黒色腫に随伴する網膜症であり、遺伝的に網膜変性を生じる網膜色素変性や機械的傷害で引き起こされる光傷害網膜変性と病態に類似性がみられるものの、いずれも詳しい病態は不明である。そこで基礎実験として、同様に網膜変性を生じるモデル動物であるRCSラット(Royal College of Surgeons Rat)を用いて、基礎研究を行った。本モデルは、生後3週より網膜変性が始まり、5〜6週には視細胞が消失しERG波形は平坦化する遺伝性網膜変性モデルである。以前我々は、臨床で用いられる4種類のCa拮抗剤すなわち、ジルチアゼム、ニフェジピン・ニカルジピン・ニルバジピン、およびその基材をRCSラットの投与したところ、ニルバジピンのみが網膜変性に対して視細胞の保護効果があることを発見した。しかし、いずれもL-typeのCa拮抗剤であったため、今回は作用機序のことなるT-type、およびN-typeのCa拮抗剤の効果について検討した。L-typeのニルバジピン、L,T-typeのエホニジピン、N-typeのシルニジピンをRCSラットの網膜変性の始まる3週令から、連日2週間腹腔内投与した。投与後1週、2週で網膜電図による機能評価および組織学的評価の検討を行った。その結果、形態学的には、ニルバジピンでは4週齢、5週齢ともに光学顕微鏡で有意に網膜層が厚くなっており、エホニジピンも5週齢においては網膜層が厚くなっていた。機能的には、ニルバジピンのみがERGでa波、b波ともに振幅が保護されていた。エホニジピンではa波の振幅が保護されていた。以上から、Ca拮抗剤の中でL-typeのニルバジピンが最も視細胞の形態・機能を保護することが推測された。
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