2006 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮細胞のアポトーシスにおけるBitlシグナルの解明
Project/Area Number |
17791217
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 江里子 東北大学, 先進医工学研究機構, 助手 (70375210)
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Keywords | アポトーシス / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 網膜色素上皮細胞 |
Research Abstract |
網膜色素上皮(RPE)細胞におけるアポトーシス誘導条件を検討した。我々の目的であるミトコンドリアを介したアポトーシスを検索するにあたり、酸化ストレスに着目した。網膜では、酸化ストレスにより、網膜色素上皮細胞(RPE)が機能障害を起こし、加齢黄斑変性等の疾患を招くとされる。 我々の実験において、RPE細胞は酸化ストレスである4-hydroxynonenal(4-HNE;膜過酸化脂質)または、C2-ceramide(脂質代謝物)の添加により細胞死を起こすことが分かった。本研究では、これら細胞死に対するミトコンドリア蛋白に着目し、実験を行った。ミトコンドリアにコードされているチオレドキシン(Trx)は抗酸化機能を有する。この蛋白は、様々な酸化ストレスに対する防御機能を有することが、アルツハイマー病やパーキンソン病などを含めた神経細胞を用いた研究により示されている。我々は、この蛋白質のうち、Trx-1とTrx-2が網膜に発現していることを見出した。さらに、これら遺伝子をアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)に組み込み、発現ベクターを作製した。このAAV-Trx1あるいはAAV-Trx2をRPE細胞に発現させたところ、4-HNEとC2-ceramideが引き起こす細胞死に対して、保護作用があることが明らかとなった。特に、Trx2が効果的に細胞死を抑制した。また、Trx1とTrx2はRPE細胞内の局在が異なることが明らかとなった。Trx1は細胞質全体に発現しているのに対し、Trx2はミトコンドリアに限局して局在した。Bitlは酸化ストレスに対し、ミトコンドリアから遊離し、細胞質でアポトーシスのシグナルを活性化するとしている。Trx2はBitlの細胞質への遊離を抑制していることが示唆された。
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