2005 Fiscal Year Annual Research Report
各種人工色素による、網膜内境界膜染色及び網膜細胞毒性に関する研究
Project/Area Number |
17791218
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 正樹 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30375498)
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Keywords | 細胞内境界膜染色 / 人工色素 / 網膜細胞毒性 / 前嚢染色 / 角膜内皮細胞毒性 |
Research Abstract |
1)現在眼科手術において広く用いられている染色色素のICGとTBにおいて、角膜内皮細胞への影響を臨床的に比較検討した。成熟白内障症例25例50眼において、これを無作為に分け、ICGもしくはTBにおいて前嚢染色を行い、術後3ヵ月の時点における角膜内皮細胞減少率を2群間にて比較検討した。その結果ICG群は、TB群と比較し臨床的にも染色性が弱いのみならず、TB群と比較し有意に高い角膜内皮減少率を示した。両色素とも既に広く用いられているが、将来的な術後水疱性角膜症などを避けるべく、前嚢染色にはTBを用いた方がより安全性が高い、ということを本結果は示唆している。 2)服内に使用できそうな人工色素を、構造式の観点から、現在用いられているICGとTBを含む22種類に絞り込んだ。死体豚眼の水晶体前嚢染色(内境界膜同様の基底膜)を用い、前嚢染色の染色性を検討した。その結果、同濃度のTBよりも明らかに染色性が勝る色素は確認できなかったが、Brilliant blue G・Rhodamine B・Rhodamine 6GはTBと同程度の染色性を示した。このことは、少なくともICGより染色性の良好な色素は無数にあり、さらに染色良好で安全な色素が多数存在する可能性を示唆している。尚、死体豚眼での内境界膜染色は、豚眼特有の性質のため、いずれの色素においても良好な染色は得られなかった。 3)上記2)の結果から、人眼での内境界膜の染色性においてある程度の推察は可能となったが、その安全性に関しては多いに疑問が残る。そこで、培養網膜色素上皮細胞を用い、各種色素暴露でのin vitroでの影響を検討した。これに関してはまだ実験の中間過程にあり、細かい内容に関しては今のところ言及できない。さらに実験を進め、染色性が高くより安全な色素を同定する所存である。
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