2006 Fiscal Year Annual Research Report
Retinal fascin遺伝子変異による網膜色素変性の発症機序の解明
Project/Area Number |
17791229
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西信 良嗣 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30379193)
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Keywords | 遺伝子 / 網膜色素変性 / 神経科学 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に従い研究を遂行した。培養細胞に野生型retinal fascinおよび変異型retinal fascin遺伝子を導入し、細胞内のretinal fascinの局在の変化を比較検討した。 1.プラスミドDNAの作成:RNAからRT-PCRを用いて、retinal fascin遺伝子を単離し、GFP(緑蛍光蛋白)の下流に融合して発現するベクターに組み込んだ。また、PCRを用いて野生型retinal fascinのcDNAに208de1G変異を導入し、同様にGFPに融合する発現ベクターに組み込んだ。 2.細胞への遺伝子導入:作成したプラスミドを用いてHEK細胞に燐酸カルシウム法およびエレクトロポレーション法により遺伝子を導入した。導入の確認はPCR法によって行った。 3.蛍光顕微鏡による観察:遺伝子導入をした細胞を蛍光顕微鏡で観察し、retinal fascinの細胞内での局在について検討した。野生型では、細胞質にびまん性に発現していた。一方、変異型は主に核内に発現を認めた。 4.免疫染色法:遺伝子導入した細胞を抗retinal fascin抗体で免疫染色を行いretinal fascinの局在を確認した。野生型では、蛍光顕微鏡による観察と同様に細胞質にびまん性に発現していることがわかった。変異型では、免疫染色で有意な発現を認めなかった。208de1G変異では、翻訳される変異型ペプチドはコドン144でストップコドンが来るため、野生型の約3分の1の長さになり、そのアミノ酸配列はフレームシフトのため、野生型とは関連のない配列を有していた。そのため、変異型では、抗体が認識されないことがわかった。今回の結果より、変異型では細胞内では核内に蓄積し、転写機能などを障害する可能性が示された。
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