2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791259
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
佐竹 良之 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (60385143)
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Keywords | 眼表面の再建 / ティッシュ・エンジニアリング / 培養角膜上皮シート / 培養口腔粘膜上皮シート / 移植 / バリアー機能 / 角膜輪部機能不全 / 幹細胞 |
Research Abstract |
重度の炎症や外傷により角膜上皮の幹細胞が存在する角膜輪部が障害され場合、上皮を再建する外科的治療法として培養上皮移植術が行なわれている。臨床では輪部上皮細胞や口腔粘膜基底層の細胞を用いる。各々の細胞を羊膜上で2週間ほど培養することで、正常角膜様の4-6層に重層化した培養上皮シート作製が可能である。作製した培養上皮シートの質は術後成績を左右することから、培養技術のみならず培養に用いる細胞の状態も重要である。特に口腔粘膜上皮シートの場合、患者から採取した口腔粘膜組織の状態に個人差があることからその場合には特に注意が必要である。当科では症例数を重ねることで、移植直後の上皮シートに上皮欠損を全く認めない質の高い培養上皮シートが安定供給できるまでに達した。 上皮のバリアー機能は外界と直接接する眼表面では非常に重要な因子のひとつである。術後に移植した上皮シートが安定して生着した症例に対し前眼部フルオロフォトメトリーでフルオレセイン色素の角膜内透過性の検討を経時的に行った。経過中、培養角膜上皮では正常角膜様の低い透過性を示したが、培養口腔粘膜上皮では非常に高い透過性を示した。また同時に、インプレッションサイトロジー法を用いて表層の上皮細胞を採取し、その形態を確認したところ、術1年経過した時点でも移植した口腔粘膜上皮細胞の生存が確認できた。眼表面が結膜上皮で覆われている場合のフルオレセインの透過性は角膜と口腔粘膜の中間の値を示したことから、フルオレセインの透過性を測定することで、どのような細胞が角膜上を覆っているかが推測できることが明らかになった。また、フルオレセイン色素の代わりにより高分子のhorse radish peroxidase(HRP)を用いた透過性試験では、HRPが全く口腔粘膜上皮を透過しないことが明らかになった。現在、口腔粘膜基底細胞の組織学的特徴を把握するため、培養上皮シートのtight junctionや細胞間接着因子の発現の検討を進めている。
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