2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791259
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
佐竹 良之 Tokyo Dental College, 歯学部, 講師 (60385143)
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Keywords | 眼表面の再建 / ティッシュ・エンジニアイング / 培養角膜上皮シート / 培養口腔粘膜上皮シート / 移植 / バリアー機能 / 角膜輪部機能不全 / 幹細胞 |
Research Abstract |
重度の炎症や外傷により角膜上皮の幹細胞(未分化細胞)が存在する角膜輪部が障害された場合、眼表面を再建する外科的治療法として培養上皮シートを用いた移植術が行なわれている。特に、両眼性の疾患では、患者自身の口腔粘膜より培養上皮シートを作成することで、術後の免疫抑制剤を使用する必要がないことから、臨床応用の機会が増えている。これまで当施設では36例41眼に対して培養口腔粘膜上皮シートを用いた眼表面(角膜および結膜)の再建術を施行し、角膜では59.5%の症例で、結膜では68.4%の症例で安定した眼表面が再構築され、培養上皮シート移植は臨床的に非常に有用な術式と考えられた。 移植された培養口腔粘膜上皮のフルオレセイン色素の透過性が、角膜や結膜と比較して高値を示したが、フルオレセイン色素より分子量の大きいLC-Biotinを用いた透過性試験では、口腔粘膜上皮シートの透過性は培養角膜上皮シートと同程度の透過性の低さを示した。次に、培養上皮シートのタイトジャンクション関連タンパクであるZO-1とoccludinの発現を検討したところ、正常角膜/輪部上皮と培養角膜上皮シートにおけるZO-1とoccludinの発現様式は共に表層部のみに発現していた。正常口腔粘膜上皮では、最表層だけでなく中間層の細胞間隙までZO-1とoccludinの発現が認められた。一方、6-7層に重層化した培養口腔粘膜シートでは表層部のみにZO-1とoccludinの発現が認められ、正常口腔粘膜上皮とは異なる発現様式を示した。また、電子顕微鏡でも、免疫染色と一致した培養口腔粘膜シートの表層部にタイトジャンクション様構造が観察された。 口腔粘膜上皮は、培養されることでタイトジャンクション関連タンパクの発現様式が角膜/輪部上皮に類似した形態をとるようになり、培養角膜上皮シート同様のバリアー機能が構築していくもの推測される。
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Research Products
(4 results)