2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791264
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本庄 恵 京都大学, 医学研究科, 助手 (60399350)
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Keywords | 緑内障 / 房水流出 / 線維柱体細胞 / シュレム管内皮細胞 / 眼圧下降 |
Research Abstract |
以前我々が以前に眼圧下降効果を報告したRhoのエフェクターの一つROCKの選択的阻害薬は、ヒトでの眼圧下降への有効性が示され、新しい緑内障治療薬としての可能性が高まっている。そこで、昨年度に引き続き、眼圧を調整している房水の流出抵抗を制御している生理的因子や機能変化について、Rho-ROCKシグナル伝達系を解析することにより、更に詳細な検討を継続している。同時に、ROCK阻害薬の緑内障治療薬としての臨床応用の可能性をふまえ、創傷治癒におけるROCK阻害薬の関与の検討も開始している。 われわれは、(1)ヒト培養線維柱帯細胞において、ROCK阻害薬を添加し、細胞骨格の変化、活性の変化を詳細に検討した。結果、Racの活性が上昇している可能性が示唆された。また、in vitroでの単層培養細胞における透過性を検討することにより、房水流出抵抗へのシグナル伝達系の関与を検討した。また、(2)Rhoの阻害は創傷治癒において血管新生・細胞遊走を抑制することが報告されており、ROCK阻害薬は細胞外基質の制御も示すことが報告されている。従って、ROCK阻害薬は線維芽細胞抑制効果を持ち、緑内障術後の創傷治癒機転に影響を及ぼす可能性がある。緑内障手術では、術後の結膜及びテノン嚢の瘢痕形成を抑制する必要がある。そこで、ROCK阻害薬の線維芽細胞抑制を検討し、結膜上皮・テノン嚢の創傷治癒機転の解明や瘢痕形成の抑制法の検討を平行して行っていく予定である。本研究では、房水流出機構の生理的、分子生物学的検討により開放隅角緑内障の発症機序を明らかにし、緑内障治療において有効な眼圧下降へのROCK阻害薬の関与を検討することで、新たな薬物治療開発へつなげることを目標としている。
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