2005 Fiscal Year Annual Research Report
MMP-13ノックアウトマウスを用いたMMP-13の創傷治癒過程における役割解析
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17791281
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
服部 典子 慶應義塾大学, 医学部, 嘱託(非常勤) (80365311)
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Keywords | 創傷治癒 / MMP-13 / MMP-9 / 血管新生 / 上皮化 |
Research Abstract |
マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase = MMP)は、細胞外マトリックスの代謝に重要な役割を果たしている分子として、近年注目を集め、多くの分野で研究がされている。創傷治癒の場でも、重要な役割を果たしているとされているが、どのMMPが、いつ、どのような機序で創傷治癒に関与しているかは、まだはっきりと解明されていない。そこで、マウスにおけるコラゲナーゼ群のMMP-13とゲラチナーゼ群のMMP-9のそれぞれのノックアウトマウスを用いて、創傷治癒の実験を行い、上皮化、炎症反応、肉芽形成、血管新生、瘢痕についての解析を行った。MMP-9、MMP-13ノックアウトマウスでは創傷治癒が遅延し、更にこれらのダブルノックアウトマウスでは、劇的に創傷治癒が遅延した。MMP-9とMMP-13ともにkeratinocyteでの発現を認め、ノックアウトマウスでは上皮化が遅延した。keratinocyteの増殖能に有意な差は認めなかった。In vitroの実験系において、MMP阻害薬を用いるとkeratinocyteのmigrationが抑制されることからも、MMP-9とMMP-13は、keratinocyteのmigrationに関与していることが示唆された。炎症反応においては、有意な差を認めなかった。MMP-13ノックアウトマウスでは、血管新生が抑制されていたことから、MMP-13が何らかの形で、血管新生に寄与していることが考えられる。
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