2007 Fiscal Year Annual Research Report
アクチビンを用いた虚血性心疾患に対する新しい血管新生療法の確立
Project/Area Number |
17791287
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 淑朗 Gunma University, 医学部, 助教 (60396653)
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Keywords | アクチビンA / BAEC / FGF2 / 血管新生 / Smad7 |
Research Abstract |
我々はこれまでにアクチビンAが、管腔形成においても重要な役割を果たしていると報告してきた。コラーゲンゲル内で3次元培養したBAECにFGF2を添加すると,BAECは管腔形成を起す。アクチピンAも同様にBAECの管腔形成を誘導することが以前の我々の研究で明らかになった。 今回我々は、BAECの管腔形成は、アクチビンAやFGF2を単独で培養液中に添加した場合よりも、アクチビンAとFGF2の共存下でより促進されることを明らかにした。また、驚くべきことに、アクチビンの拮抗薬であるフォリスタチンを添加することによって、FGF2の管腔形成作用がほぼ完全に拮抗された。 BAECは、FGF2とアクチビンAを産生することがわかっているが、外因性に添加したFGF2は,BAECのアクチビンAの発現に影響を与えず,アクチビンII型受容体の発現を促進した。一方,アクチビンAは,FGF2とFGF受容体の発現を促進した。 また、管腔形成を誘導するアクチビンAのシグナル伝達経路に関しても検討した。アデノウィルスベクターを用いて抑制型Smadの1つであるSmad7をBAECに過剰発現させ同様の実験を行ったところアクチビンAによるBAECの管腔形成著明に抑制された。また、p42/44MAPキナーゼ阻害薬によりアクチビンによる管腔形成は抑制された。TGFβスーパーファミリー一般に近年報告されているように、アクチビンによる管腔形成においてもSmad非依存性のシグナル伝達経路が関与している可能性が示唆された。 これらのことから、FGF2とアクチビンAが相互作用し管腔形成が促進され、特に内因性のアクチビンAは、FGF2が誘導する管腔形成にも重要な役割を果たしていると考えられた。
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