2006 Fiscal Year Annual Research Report
出血性ショックにおける自律神経機能動態の解析と蘇生への応用
Project/Area Number |
17791291
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 昌 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70265916)
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Keywords | 出血性ショック / 心拍血圧変動解析 / wavelet法 / 迷走神経反射 / 自律神経 / 呼吸性変動 |
Research Abstract |
第7週齢のWistar系雄性ラット(214±10g)を用い、ペントバルビタール腹腔内投与で麻酔し、頚動脈から6ml/hで脱血を行った。大腿動脈で動脈圧を、頭蓋骨上のレーザーフローメーターで脳血流量を測定した。動脈圧と心電図RR間隔(RRI)はwavelet法を用いて周波数解析を行なった。周波数解析では、高周波成分と低周波成を算出した。1)脱血量の上昇に伴って血圧と脳血流の減少が観察された。心拍および血圧の周波数解析では、脱血量と有意な相関を認めたのは、収縮血圧の高周波成分のみであった(r=-0.48,P<0.01)。また、収縮期血圧と収縮期血圧の高周波成分は有意な正の相関を認めた(r=0.63,P<0.01)。収縮期血圧の高周波成分は収縮期血圧の呼吸性変動を反映しており、出血性ショックにおける循環血液量を反映している可能性が示唆された。2)アトロピン(2μl/min div)投与群(n=6)と非投与群(n=6)とで、コントロール、アトロピンdiv開始20分後、脱血20分後、および40分後のHFを検討した。RRI (ms)は非投与群で脱血前161±17から脱血20分後に194±26に延長したが、アトロピン投与群ではコントロール158±21、投与20分後(脱血前)154±21、脱血20分後152±18、40分後147±19であり、RRIの延長は認めなかった(P=0.02)。HFは非投与群で脱血前10.2±0.5が脱血20分後に11.1±1.8に上昇し、40分後に9.7±0.7に減少したが、投与群ではアトロピン投与前10.3±0.8、脱血前10.2±0.7、脱血20分後9.6±1.1、40分後9.5±1.1であり、HFの上昇は認めなかった(P=0.04)。ラット出血性ショックにおいてRRI延長とHF上昇を認め臓迷走神経機能の亢進が原因と考えられた。
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