2005 Fiscal Year Annual Research Report
膜移行シグナル付きSindbisVirusトレーサーを用いた嗅球内局所回路の解析
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17791305
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
薗村 貴弘 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (40347092)
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Keywords | 嗅覚 / 嗅球 / 局所回路 / Virusトレーサー / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、嗅覚の一次中枢である嗅球を脳局所回路のモデルとして、そのシナプス構成について解析を進めている。中枢神経系ニューロンの三次元構造は広範かつ複雑であり、そのシナプス構成を解析するには、光学顕微鏡による全体像と電子顕微鏡によるシナプス結合像を明確に対応させることが不可欠である。そのためにまず、嗅球のニューロン群を形態的および化学的性質を免疫細胞化学的に明らかにすることが重要である。嗅球の各種ニューロンの形態は、主にゴルジ法や色素注入法により明らかにされてきた。しかし、ゴルジ法などでその存在は判ってもシナプス結合について明らかにされていないニューロンも数多い。そこで本研究では、近年開発されたゴルジ染色様に神経を可視化できる細胞膜移行シグナル(palmitoylation site)付きGFPが組み込まれたSindbis Virusトレーサーを、ラット嗅球に注入し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、嗅球内に存在する種々のニューロンの軸索、樹状突起、細胞体の形態を明らかにし、さらにそれらに免疫組織化学法を用いて、個々の化学的な特性を明らかにしつつある。 また、近年、神経再生の分野で、成体齧歯類の側脳室下層に存在し神経幹細胞と考えられるtypeBアステロサイトが鎖状に連なりながら嗅球へ移動しニューロンに成熟することが明らかにされ、またこれらの神経幹細胞がドーパミン受容体を強く発現しているということが報告された(Nils et al., 2006)。本研究で5種類あるとされるドーパミン受容体subtypeのうちどれがそれを担っているのかを明らかにするためにin situ hybridizationを行い、その担い手を特定することに成功した。平成18年度はこれらの明らかになりつつある所見を統合して嗅球内の局所回路をさらに解明していく計画である。
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Research Products
(3 results)