2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌から発見した腫瘍転移蛋白(T-met)による頚部リンパ節転移の解明
Project/Area Number |
17791310
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
相田 忠輝 昭和大学, 歯学部, 助手 (10307051)
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Keywords | 扁平上皮癌 / 転移 / 転移関連遺伝子 / 転移メカニズム / 口腔 / KIAA0014 / metastasis diagnosis / T-met |
Research Abstract |
本研究の目的は口腔扁平上皮癌細胞の悪性度、浸潤能、転移能に相関するT-met蛋白について解析し、癌治療への選択治療、予後判定さらには口腔癌予防へ応用することである。われわれはすでにヒト癌cDNAをプロットしたマイクロアレイを用いることにより、KIAA0014遺伝子の発現の増強が頸部リンパ節転移と密接に関わっている事を見いだした。さらに、マイクロダイセクション法とリアルタイムRT-PCR法を組み合わせることによって、KIAA0014遺伝子の発現の変化を組織切片から解析し、リンパ節転移との相関性を明らかにしている。我々はこのKIAA0014遺伝子から合成される蛋白をT-met蛋白(Tumor metastatic protein)と名付けた。すでにこの蛋白の発現を免疫組織学的に解析することにより転移との相関性を明らかにし、転移診断に応用できる可能性を示した。17年度の研究計画において、現在、遺伝子導入によるT-met強発現細胞株8株の発現する遺伝子、蛋白質を網羅的に解析することが計画されていた。 現在は、T-met強発現細胞株のうち、安定して発現を続けている細胞株1株について、cDNAマイクロアレイ、proteinアレイを用いて、網羅的な遺伝子発現の解析、並びに、蛋白発現、リン酸化蛋白の発現について、網羅的に解析を行った。 その結果、T-metを発現させることで新たに発現した遺伝子が26種類、消失した遺伝子が5種類であった。発現量が減少した遺伝子が21種類、発現量が増加した遺伝子が36種類であった。cDNA microarrayの結果のうち、新たに発現を認めた遺伝子では細胞内シグナルに関わる遺伝子の発現および増強、並びにアポトーシス促進因子の発現低下および消失が認められた。蛋白発現の増強は、83種類の蛋白におよび、発現が低下した蛋白は認められなかった。また、リン酸化が亢進した蛋白は50種類であり、リン酸化が低下した蛋白は8種類であった。発現が増強された蛋白ではRHO、PI3K、PKA、HSPなど複数の細胞内シグナルを構成する蛋白が見られた。リン酸化蛋白においても複数の経路においてリン酸化の亢進が認められた。
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