2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄内神経-グリアネットワークによる疼痛制御機構-ATP受容体P2X7の役割-
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17791322
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森岡 徳光 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (20346505)
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Keywords | ミクログリア / グルタミン酸トランスポーター / ATP / P2X7 / 脊髄 / グルタミン酸ホメオスタシス |
Research Abstract |
グルタミン酸は中枢神経系における最重要物質である。それ故、痛覚伝達や運動機能制御の最重要点である脊髄におけるグルタミン酸ホメオスタシスの破錠が痛覚感受性の異常誘発や筋萎縮性側索硬化症の要因となっていることが予想される。グルタミン酸ホメオスタシスにおいて中心的役割を担う分子はグルタミン酸トランスポーターであり、専らアストロサイトに存在するそれらがその機能を果たしていると考えられている。一方で、様々な病態時においてはミクログリアにおけるグルタミン酸トランスポーターの重要性が高まることが知られているが、その詳細な役割及び制御機構については完全に把握されていない。ATPは脊髄における神経-グリア細胞間の情報伝達に重要な役割を有するモデュレーターであり、またATP受容体P2X7はミクログリアに存在し、その機能調節に重要な役割を有することが知られている。そこで本年度は脊髄由来初代培養ミクログリアを用い、グルタミン酸トランスポーターとP2X7の関係に注目し、以下の点を新たに確認した。1)培養ミクログリアにおいて、P2X7受容体作用薬であるBzATP前処置によるグルタミン酸取り込み抑制作用はMEK-ERK阻害剤U0126及び抗酸化剤によりそれぞれ部分的に回復したが、両者を併用することで相加的な作用を示し、ほぼ完全に回復した。2)BzATP誘発性グルタミン酸取り込み抑制作用、及びBzATP刺激によるERKのリン酸化は、細胞外Ca^<2+>及びNa^+に非依存的な作用であった。3)培養ミクログリアにおけるP2X7受容体活性化によるグルタミン酸取り込み抑制作用は、グルタミン酸トランスポーターサブタイプであるGLAST及びGLT-1活性に影響を及ぼすことに起因していた。本研究結果は、培養ミクログリアにおけるATP-P2X7がグルタミン酸トランスポーター機能に影響を及ぼすことで、脊髄におけるグルタミン酸ホメオスタシス制御に重要な役割を担っている可能性を示唆するものである。
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