2006 Fiscal Year Annual Research Report
味細胞の生理機能と発現分子との連関:シングルセルRT-PCR法による解析
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17791325
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 竜介 九州大学, 大学院歯学研究院, 助手 (60380705)
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Keywords | 味細胞応答 / 活動電位 / 味覚受容体 / 塩味 / うま味 / 遺伝子発現 / ENaC / 鼓索神経応答 |
Research Abstract |
本研究は、マウスの舌上皮・味蕾標本を用いることにより味覚受容器の構築を大きく損なうことなく細胞の生存性を高め、ルーズパッチ法により味細胞の味刺激に対する応答を記録し、その細胞における発現遺伝子をマルチプレックス・シングルセルRT-PCR法により検索することにより、受容体などの味覚関連分子の味細胞での発現と味細胞の応答特性との関連を解析することを目的とする。 マウス茸状乳頭味細胞のNaCl応答をルーズパッチ法で解析した結果、およそ半数の細胞が上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)の阻害剤であるアミロライドに感受性があり(AS細胞)、残り半数はアミロライドに感受性を示さなかった(Al細胞)。AS細胞はNaClに特異的な応答を示し、Al細胞はNaCl以外にも電解質溶液(KCI、HCIなど)に応答を示した。アミロライドの効果は味孔側に与えられた場合に限られ、基底外側膜側に与えた場合には効果がなかった。これらの味細胞の応答特性や存在比は、鼓索神経にみられる2つのタイプ(アミロライド感受性のNタイプと非感受性のEタイプ)の線維のそれらと一致することが示唆された。シングルセルRT-PCRにより、これらの細胞でのENaCの発現を調べたところ、AS細胞ではα-ENaCの発現が検出され、Al細胞ではENaCサブユニットの発現は検出できなかったことから、AS細胞ではENaCがNaCl応答に関与している可能性が示唆される。 また、味細胞のグルタミン酸(MSG)応答を解析した結果、MSG応答細胞はサッカリンに応答する細胞、NaClに応答する細胞、MSGのみに応答する細胞に大別された。これらの応答特性の違いと、発現遺伝子との関連性については、現在の所、まだ明らかにはできていない。
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[Journal Article] Trpm5 null mice respond to bitter, sweet and umami compounds.2006
Author(s)
Damak S, Rong M, Yasumatsu K, Kokrashvili Z, Perez CA, Shigemura N, Yoshida R, Mosinger B Jr, Glendinning JI, Ninomiya Y, Margolskee RF
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Journal Title
Chem. Senses 31
Pages: 253-264