2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791327
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (40316154)
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Keywords | ニコチン / アンジオテンシンII / ピロカルピン / ノルアドレナリン / 脳弓下器官 / MRI / ヒト全唾液 / 唾液腺 |
Research Abstract |
我々はすでに、飲水行動や自律神経系の調節に関与する中枢神経核の脳弓下器官神経が喫煙後に達するとされる低い濃度から活性化するという報告(Onoら,2003)と中枢ニコチン刺激にてラット歯肉血流量が減少するという報告(Nakamuraら,2005)をしている。この結果は、中枢でのニコチン作用が口腔機能に影響を与える可能性を示している。麻酔下のラットにおいて、この神経核を含めた中枢神経核へのピロカルピンを用いたムスカリン刺激にて唾液分泌が促進するという報告があることから、中枢へのニコチン刺激が歯肉血流量だけでなく、唾液分泌にも影響を与えるのではないかと予想した。しかし、過去の麻酔下の実験で使われていたピロカルピンの中枢投与量は高すぎて、覚醒下のラットではしばしば死に至る濃度であることがわかった。適切な低い濃度を中枢投与したが、飲水行動は誘発されたものの、唾液分泌の促進は観察されなかった(Satoら,2006)。飲水行動が誘発されたため、脳弓下器官が関わっていることは示唆される。ニコチン刺激による唾液分泌の効果を調べるために、予備実験的に喫煙者と非喫煙者の無刺激唾液を比較したが差はみられていない。我々は、ヒトにおける新しい唾液分泌能の評価法を開発したため(Onoら,2005;Morimotoら,2005)、それを用いてさらに喫煙者と非喫煙者に差がないかを調べている。中枢ニコチン刺激後に脳弓下器官が関わるのかを調べたところ、興味深いことに、ラット脳弓下器官でのc-fosの発現は増加しているものの、飲水行動はほとんど誘発されなかった。これは明らかに中枢ニコチン刺激が脳弓下器官の神経興奮を引き起こす事を示すが、それらの神経は飲水行動の誘発に関与しない可能性を示唆している。実際、飲水行動を引き起こすアンギオテンシンIIやムスカリンとニコチンの脳弓下器官神経での応答性を比較したところ、応答するニューロンが異なるという結果を得ている。最近、我々は脳弓下器官神経が電気生理学的特性から2群に分けられ、アンギオテンシンIIの反応に差がある事を報告しているため(Onoら,2005)、この2群でのニコチン応答性についても差がないかを検討中である。
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Research Products
(5 results)