2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨および神経細胞の増殖・分化におけるビオプテリン補酵素の作用機序の探査
Project/Area Number |
17791329
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
藤本 健吾 明海大学, 歯学部, 助手 (90286013)
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Keywords | セピアプテリン還元酵素 / ビオプテリン補酵素 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
骨芽細胞へのセピアプテリン還元酵素(SPR)アンチセンスオリゴヌクレオチドの導入で、SPRおよびSPRが生成する物質であるビオプテリン補酵素(BH4)が骨芽細胞の増殖能に関係していることを見つけ出した。また、BH4は一酸化窒素合成酵素(NOS)の補酵素であるため、神経伝達物質合成に不可欠な因子である。さらに、NO-cGMP系が、神経細胞の樹状突起の伸長に関与しているとの報告がある。以上のように、骨吸収や神経細胞の分化に関与する酵素がBH4を必須の補酵素として要求することから、SPR遺伝子ノックアウトマウスを用い、SPRおよびSPRの生成するBH4がどのように細胞の増殖分化に関与するのか検討した。 SPR遺伝子ノックアウトマウスは最長約半年の短命であった。Wild-typeおよびhetero-typeのマウスの体重を比較すると、生後1週間後ではほぼ同じであるが、生後4週間後では体重は約半分と非常に生育が遅い事が判明した。また、摂食行動以外の行動はほとんど見られなかった。SPR遺伝子ノックアウトマウスの脳におけるネオプテリン量とBH4量を測定すると、BH4生合成の初段階に見られるネオプテリン量に変化は見られないが、最終段階に働くSPRの生成物のBH4量はWild-typeと比較して約40%である事が判明した。さらに、マウス形態および各臓器の切片を作製したところ、どの臓器も構造に変化は見られなかったが、wild-typeおよびhetero-typeのマウスと比較して、大きさが約1/4程度であった。In vivo実験で、SPRの発現抑制および強制発現により、細胞の分化増殖が促進および抑制された事実からも、SPRおよびSPRが生成する物質であるBH4は、細胞の増殖に必要不可欠の因子であると考えられる。
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