2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の副作用として発症するオーラルジスキネジアの行動薬理学的研究
Project/Area Number |
17791332
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤田 智史 日本大学, 歯学部, その他 (00386096)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
薬物誘発不随意顎運動の発現には、線条体のドパミン機構が重要な役割を果たしていることが報告されている。この部位には縫線核からのセロトニン性神経、大脳皮質からのグルタミン性神経の投射が知られているが、それらのドパミン性神経系との相互関与機構に関しては不明である。そこで、不随意顎運動の中枢制御機構を解明する目的で、ドパミン受容体を刺激して誘発されるリズミカルな顎運動に対するグルタミン性神経、セロトニン性神経の果たす役割に関して検討を行った。 本年度は、線条体におけるNMDA受容体機能または5-HT_<1A>受容体機能の亢進または抑制が、薬物誘発顎運動の発現に及ぼす影響を検討した。 その結果、両側の線条体腹外側部に、NMDA受容体アゴニストのNMDA(0.05-1μg)、もしくはNMDA受容体アンタゴニストのMK-801(0.5-5μg)を前処置し、apomorphine(1mg/kg)を全身投与した際に誘発される顎運動の回数は、溶媒処置群と比較していずれも用量に依存した顎運動の抑制傾向が認められるものの、現時点では統計学的に有意な差は認められていない。 また、昨年に引き続き行ったセロトニン性神経の役割を検討する実験からは、両側の線条体腹外側部に、5-HT_<1A>受容体アゴニストの8-OH-DPAT(1-4μg)を前処置することによって、apomorphine(1mg/kg)を全身投与した際に誘発される顎運動の回数は、溶媒処置群と比較してわずかに減少し、5-HT_<1A>受容体アンタゴニストのWAY-100635(1μg)を併用して前処置することで、その働きは抑えられることが明らかになった。 以上の結果から、ドパミン受容体刺激誘発顎運動に対する線条体腹外側部のNMDA受容体は一定の役割を果たしている可能性があるものの、その働きは複雑であることが示唆された。また、5-HT_<1A>受容体はドパミン受容体刺激誘発顎運動を抑制する役割を担っている可能性が示唆された。今後、これらに関してさらなる検討が必要と考えている。
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