2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病における好中球エラスターゼの作用の解明と阻害剤の臨床応用の検討
Project/Area Number |
17791335
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
島田 明美 鶴見大学, 歯学部, 助手 (00339813)
|
Keywords | 歯学 / 薬理学 / 酵素 / 細胞・組織 / 動物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、歯根膜の機械的強度の低下に対する好中球エラスターゼ(neutrophil elastase以下NE)の作用とその基質を調べ、NE阻害に着目した新規歯周病治療薬の可能性について検討することである。 (1)歯根膜におけるNEの基質の探索 Wistar系雄性ラット下顎第一臼歯の歯根中央部で厚さ450μmのスライスを作り、NE0〜50μg/mlを含む液中で37℃、4時間処理した後、近心根を押し抜き、歯根膜の機械的強度を測定したところNE処理濃度依存的な最大剪断応力および破壊エネルギーの低下を示した。またNE特異的阻害薬のシベレスタットでこれらの低下が抑制された。ハイドロキシプロリンの定量および偏光顕微鏡観察の結果、コラーゲンはほとんど分解されていなかったが、アルデヒドフクシン染色、PAS染色において、線維間基質やオキシタラン線維の分解が認められた。これらの結果から、歯根膜におけるNEの基質は非コラーゲン性タンパク質や線維間基質であると考えられた。ブタ小臼歯歯根膜からNEで特異的に分解される物質を探索したところ、110kDa酸性糖タンパク質を見出した。この物質の分離を試みたが分解されやすく、同定に至らなかった。しかし、抽出直後のアルキル化により、分解が抑制されたので、来年度はこの方法でこの物質の同定を目指す。 (2)慢性歯周病モデルの作製 Wistar系雄性ラットの上顎第一臼歯歯肉縁にラバーリングを装着した歯周病モデルの作製を試みた。臼歯を引抜き、歯根膜の機械的強度を測定したところ、リング装着翌日以降、最大引抜き荷重が有意に低下した。また、マイクロCT撮影で4週後には明らかな歯槽骨吸収が認められた。来年度は、歯周炎の進行と好中球の分布、細胞外基質成分の分解、それに対するシベレスタットの抑制効果の有無を検討する。
|