2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群歯肉線維芽細胞への歯周病原細菌の侵入における宿主因子の解明
Project/Area Number |
17791338
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 旬平 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (70362689)
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Keywords | ダウン症候群 / P.gingivalis / インテグリン / 組織修復 / 歯周炎 |
Research Abstract |
歯周病原細菌の一つであるPorphylomonas gingivalisは数種のプロテアーゼを産生し,細胞内に侵入した後にこれらのプロテアーゼ作用によって宿主細胞のいくつかのタンパク質を分解することが知られている.現在,本菌が宿主上皮細胞に侵入することによって,その細胞接着シグナルあるいは細胞増殖シグナルを抑制することを示唆する知見が得られつつある.これらの結果から,「P.gingivalisは,単に細胞内に侵入するだけでなく,細胞内で細胞増殖,細胞運動,細胞コミュニケーションに関するシグナルを阻害することによって,ひいては歯周組織の修復・再生を阻害しているのではないか」と考えるに至った.また一方でP.gingivalisが,ダウン症候群由来の歯肉上皮細胞(HEF)および歯肉線維芽細胞(HGF)に対して,健常者由来の細胞に対してよりも強い付着・侵入能を示すことを見出し,ダウン症候群に特異的な宿主要因があることを裏付けている.HGFは,歯肉上皮の下層にあり歯周疾患の進行と密接に関わっている.そこでダウン症候群の急速な歯周病の進行メカニズム解明のために,健常者とダウン症候群のHGFを用いて,ダウン症候群の歯周病における宿主因子の同定を本研究の目的とした. 本年度の研究を実績としては、 (1)ダウン症候群由来の歯肉線維芽細胞の歯周病原細菌P.gingivalisの易感染性の確認 (2)ダウン症候群由来の歯肉線維芽細胞のP.gingivalis感染時にインテグリンα5β1分子の分解が促進する (3)P.gingivalisに感染したダウン症候群の歯肉線維芽細胞においては組織修復が遅延する。 ことを突き止め、関係学会において発表を行った。
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