2005 Fiscal Year Annual Research Report
画像所見から見た長崎県におけるドライマウス患者の病態解明
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17791341
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高木 幸則 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (30295084)
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Keywords | ドライマウス / 口腔乾燥症 / シェーグレン症候群 / 唾液腺 / 画像診断 / MRI / US / 長崎県 |
Research Abstract |
本院、口腔乾燥症外来を受診した患者は180名にのぼり、このうちサクソンテスト陽性(<2g/2min.)で、ドライマウスと診断した120名弱の患者を対象として、非侵襲的画像検査(US, MRI)を施行した。MRIについては解像力を上げるためにマイクロスコピーコイル(径47mm)を使用した。 ドライマウス患者の臨床像は、平均年齢65歳、男女比1:4、サクソンテストの平均は0.9g/2min.弱であった。予想される原因としては、薬剤性、心因性、シェーグレン症候群(以下SS)、高脂血症(以下HL)の順に多く、複数の要因が複雑に影響していると考えられる症例も多々認められた。 これらの患者のうち、SS、HLについては、US, MRIなどの非侵襲的画像検査によって、特徴的な変化を認め、診断の一助となった。特に高解像度のマイクロスコピーコイルを用いたMRI(以下MR microimaging)では従来のMRIよりも遥かに有益な情報を得ることができ、これまでは捉えることが困難であった微小変化も抽出することができた。 SSでは、MR microimagingを唾液腺局所に応用することにより、腺組織破壊(脂肪変性)や残存する腺葉構造を明瞭に抽出することが出来た。また、数分〜1分以内の短時間で、撮影後の画像処理を必要とすることなく、高解像度のMR microsialography像を得る事が出来た。更に得られた像を利用することで、病期が進行するに従い、腺実質の脂肪変性の割合は増加し、残存する腺葉構造の割合は減少することを定量的に証明できた。またMR microsialographyでは、従来の唾液腺造影同様、病期が中期までは、点状像の数とサイズは増加していくが、高度進行例においては、それらは低下し、従来の唾液腺造影との間に相違が見られることを定量的に証明できた。 HLにおいても、唾液腺(特に耳下腺)への均一な脂肪沈着の様子が明瞭に把握でき、MR microsialographyを行うことで、シェーグレ症候群との鑑別が可能であった。 また、長崎県におけるドライマウスの特異性を探ったところ、放射線被曝と唾液分泌量の減少には有意な相関を認めた。ただし、シェーグレン症候群の有病率には明らかな相関は見られなかった。
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