2005 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下造影検査画像と頚部嚥下音を用いた嚥下動態のコンピュータ解析
Project/Area Number |
17791346
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
後藤 真一 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (30319206)
|
Keywords | 嚥下 / 嚥下造影検査 / コンピュータ解析 |
Research Abstract |
摂食・嚥下という行動は人が生きる上で重要な行動であり,現在これらの障害が非常に注目されている.特に舌は口腔内で食塊形成を行い,それを咽頭へ移送する.舌・咽頭運動を中心とした嚥下の評価法としては,従来からX線透視検査法(Video fluorography:VF検査法)やX線映画法がgold standardになっている.しかしながら,これらの検査は被曝の危険性を伴うために問題を残している.そこで,我々は咽頭期における.嚥下音に着目した嚥下音は非常に複雑な機構が混在した超短音である.嚥下音と嚥下運動との関係は未だ明らかにされておらず,検者の経験的な主観評価によって行っている.そこで,コンピュータを使いVF画像上の舌や舌骨,咽頭,喉頭の可動域や加速度変化について解析し,それと嚥下音とを同期させる.これにより,嚥下運動から作り出される嚥下音との関係を見いだす事ができると推測した. 本年度の段階で,咽頭で発生する嚥下音の発生源および嚥下障害因子を探るため,頭頸部癌患者の術前と術後のVF検査画像における咽頭後壁の動態所見を分析した.その結果,術前はほとんどの症例で,咽頭後壁の最大厚のタイミングは時間経過とともに上方から下方へ順次移動しているパターンであり,術前と術後においてほとんどパターンの変化は認めなかった.しかし,術後嚥下障害が認められる症例では,この移動パターンに変化が認められた.平成15・16年度科学研究費若手研究(B)「頚部聴診音響解析による嚥下機能評価法の開発」で行った頸部郭清術後患者の嚥下音解析の結果と関連があると思われる. 以上より,外科的な侵襲により,咽頭後壁の隆起のタイミングが術前と術後で変化している症例が認められ,手術により咽頭収縮筋の機構バランスに変化が生じ,嚥下音にも影響がある可能性があることが示唆された.
|