2005 Fiscal Year Annual Research Report
難治性感染根管治療に対するE.faecalisのpH耐性・抵抗機構に関する研究
Project/Area Number |
17791350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中條 和子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40374946)
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Keywords | 歯学 / 細菌 / 感染根管 / E.faecalis / pH耐性 |
Research Abstract |
Enterococcus faecalisは、歯内う蝕病巣(酸性環境)から水酸化カルシウム製剤が奏功しない難治性病巣(アルカリ性環境)にわたる広範な歯内疾患において、高頻度で分離される。その理由としてE.faecalisの有するpH耐性機構が考えられているが、未だ不明である。そこで本研究では、E.faecalisの酸・アルカリ耐性とその生化学的機構について、他の代表的口腔レンサ球菌と比較し、検討することを目的とした。E.faecalis JCM8728、Streptococcus mutans NCTC10449、Streptococcus sanguinis ATCC10556を、0.5%グルコースを含む複合培地(pH3-11)で48時間嫌気培養し、増殖限界pH値を求めた。さらにpH感受性蛍光色素を負荷した菌体を用いて、菌体外pH(pHo)を酸性からアルカリ性の広範囲(pHo 3-10)に変化させた場合の菌体内pH(pHi)及び同色素の漏洩率から菌体膜のpH耐久性を測定した。S.sanguinisの増殖可能pHは5-9であったのに対し、S.mutansでは4-9、E.faecalisでは4-11であった。pH感受性蛍光色素法で求めたE.faecalisのpHi維持能は、酸性側pHoではS.mutansと同等であったが、アルカリ側pHoではS.mutansよりも優れていた。さらにE.faecalisはpH2.5-12で高い菌体膜のpH耐久性を示した。以上より、E.faecalisのS.mutansと同等の耐酸性とS.mutansよりも高い耐アルカリ性は、同菌種の高い菌体膜のpH耐久性によってもたらされていることが明らかになった。次年度は、この3菌種の糖代謝能(酸産生活性)に関する耐酸・耐アルカリ性について比較・検討する予定である。
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