2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌性天然有機素材を配合した覆髄用リン酸カルシウムセメントの開発
Project/Area Number |
17791362
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松永 常典 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (10380924)
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Keywords | キトサン / リン酸カルシウム / 抗菌作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、抗菌性を有する硬組織修復・再生のための、キトサン含有リン酸カルシウム系セメントを開発することである。 本年度は、まず、市販のβTCP粉末を細紛化し、それがセメントの硬化に影響を及ぼすかどうかを検討した。未粉砕のβTCPと比較し、粉砕したものは明らかに硬化時間が短縮されていた。 この粉砕βTCPと、0〜20%クエン酸溶液に5〜20%キトサンを添加させた液とで練和を行い、硬化時間の測定を行った後、8〜10分で初期硬化するよう粉液比の調整を行った。しかし、液のpHを測定したところ、1.27〜2.15と生体材料として使用するには非常に低い値を示した上に、過去の文献に記載してあるようにセメント練和後に徐々にpHが中性に近づくという現象を確認することもできなかった。そこで、クエン酸溶液ではなくpH7.4リン酸緩衝液にキトサンを添加させたものを液として使用することとし、同様に粉液比の調整を行った。 さらに、硬化したセメント内にハイドロキシアパタイトが形成されているかどうかを確認するために、硬化体のXRD分析を行ったが、アパタイトの形成は確認できなかった。市販の覆髄用セメント(αTCP)は25分程度で初期硬化するため、硬化時間が早く水和反応が十分生じていない可能性が考えられた。 本年度の研究結果を踏まえ、次年度、セメントの製作を進めていく予定である。
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