2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞からの歯髄細胞誘導による象牙質・歯髄複合体再生療法の確立
Project/Area Number |
17791366
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
諸冨 孝彦 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (10347677)
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Keywords | 象牙質・歯髄複合体 / 再生療法 / 歯乳頭細胞 / エナメル上皮細胞 / 分化誘導 |
Research Abstract |
歯の発生時において、歯乳頭細胞とエナメル上皮細胞がそれぞれ象牙芽細胞・エナメル芽細胞へと分化する際にはそれぞれの相互作用が重要であることが報告されている。内エナメル上皮細胞から分化誘導を受けた歯乳頭細胞は象牙芽細胞へと分化し、この後内エナメル上皮細胞がエナメル芽細胞へと分化する。よって、生体内において未分化エナメル上皮細胞の分化機構における歯乳頭細胞の関与を検索することは、象牙芽細胞の分化機構を探る上でも重要である。これに関して、内エナメル上皮細胞はすでにエナメル芽細胞への分化能を有するが、ラット切歯に存在するapical bud内の細胞群(未分化エナメル上皮細胞群)が内エナメル上皮細胞へと分化するには歯乳頭細胞による分化誘導が不可欠であることを本年度に報告した(Morotomi T.et.al.:Archs.Oral Biol.50:695-705,2005)。また、ヒトの歯では萌出後の歯髄の創傷治癒時に歯乳頭細胞がエナメル上皮細胞と接触することなく象牙芽細胞様細胞へと分化し、修復象牙質を形成することを報告しているが(Kitamura C.et al.: Operative Dentistry.28:75-79,2003.),(Kitamura C.et.al.: J.Endod.29:41-43,2003.),(Kitamura C.et.al.:J Dent Res.82:91-95,2003.)この分化機構を探るために、一つの刺激としてヒートストレスによる歯髄細胞の象牙芽細胞への分化能に与える影響を研究した。この研究から、歯髄細胞は耐熱性を持ち、ヒートストレス後にも象牙芽細胞への分化能は保持されることが確認された(諸冨ら:日誌保存誌,48 春季特別号:101,2005.)、(諸冨ら:J.Oral Biosci., 47 Supplement:105,2005.)。 以上、本年度に得られた研究結果から、骨髄由来間葉細胞から象牙芽細胞の分化誘導、そして象牙質・歯髄複合体再生療法実現への基礎的な知見を得ることができた。
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Research Products
(1 results)