2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791372
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (70350824)
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Keywords | 歯髄 / 移植 / 石灰化機構 / 基質タンパク / 基質小胞 / ラット / 免疫組織化学 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
歯の硬組織の影響を受けない条件下における歯髄の硬組織形成能と石灰化機構を明らかにする目的で、歯髄皮下移植後の硬組織形成を免疫組織化学的並びに微細構造学的に検討した。green fluorescent protein (GFP)-transgenicラット(6週齢,Lewis)の下顎切歯固有歯髄を歯牙から剥脱し、ただちにwild typeラットの頭部皮下に他家移植した。移植3、7、14日後に移植片を周囲組織とともに取り出し固定、脱灰後にパラフィンに包埋し、組織学的観察並びに免疫組織化学的手法にて、オステオカルシン(OCN)、オステオポンチン(OPN)、骨シアロタンパク(BSP)、象牙質シアロタンパク(DSP)、GFPの局在を観察した。また、非脱灰試料を樹脂包埋し、透過型電子顕微鏡を用い石灰化過程について検討した。移植3日後、典型的な象牙芽細胞は消失したが、歯髄全体に強い変性は見られなかった。7日後、歯髄組織辺縁より内側に向かって細胞を封入した小腔構造を有する硬組織が形成され、この硬組織表面には卵円形の細胞の配列が観察された。14日以降、硬組織形成はさらに進み、歯髄全体に石灰化が認められた。免疫局在は、OCN、OPN及びBSPは新生硬組織基質全体で陽性反応を示したが、DSPは陰性だった。GFPは、硬組織基質内に封入された細胞および基質表面に配列する細胞で陽性を示した。また、この石灰化は、移植歯髄辺縁部に存在する細胞の細胞内にアパタイト結晶が出現することから開始するものと考えられた。以上の結果から、歯髄細胞は元来存在する硬組織が周囲に存在しなくとも固有の誘導能で硬組織を形成し、その新生硬組織は骨に類似した特性を持つことが明らかとなった。
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