2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内免疫機構を賦活する歯科補綴バイオマテリアルインターフェイス構築法を探る
Project/Area Number |
17791375
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小牧 健一朗 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40361109)
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Keywords | 歯科補綴 / 抗菌 / 自然免疫 / バイオマテリアル |
Research Abstract |
本研究では高齢者の心身賦活を促す歯科補綴治療法を確立することを根幹の目的とし、ヒト生来備わっている口腔内免疫機構(抗菌ペプチド)に基づく、補綴物(歯科材料)の抗菌効果と高齢者の免疫機構賦活効果を期待し、歯科材料への抗菌ペプチドの機能的結合方法の構築を昨年度より取り組んできた。昨年度、PMMA特異的ペプチドのセレクションが困難であることが明らかとなり、今年度は、その点を解決するため、PMMA表面をプラズマイオンボンバーダ((株)日立ハイテクフィールディング)を用い改質処理を行うことにより、結合の特異性の向上を期待し、実験を遂行した。その結果、プラズマ処理PMMAは未処理のものに対して以下の違いが認められ、表面の組成が変化していることわかった。(1)0濃度が未処理より低かった。(2)Clsスペクトルにおいて、カルボン酸メチル由来の289eV成分、メトキシ基由来の286eV成分の比率が低かった。(3)Olsスペクトルにおいて、532eV成分が主成分となった。(旭化成株式会社基盤技術研究所)この表面処理したPMMAに対し、ファージディスプレイによるペプチドのセレクションを行ったところ、候補となるペプチドは残ったが、これらもワイルドタイプファージ(M13KE)とのPMMAへの結合比較実験を行ったところ、有意な差が認められず、現段階ではPMMAと特異的な親和性を持つペプチドであることを明らかにできていない。 このことは、今回表面処理に用いたプラズマイオンボンバーダは簡便で、臨床的にも応用が容易と考えられたが、得られた表面処理の結果は特異的ペプチドを得るまでには至らなかった。 本研究において、PMMA特異的ペプチドの同定は最重要点であるため、今後はシランカップリング材、4-METAを用いPMMAに反応基を取り込ませ樹脂改質を行い、特異的ペプチドの決定を行う予定である。
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