2006 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症者の下顎頭骨形態変化の発症機構を下顎運動論と咬合論から解明する
Project/Area Number |
17791382
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
細貝 暁子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (20377162)
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Keywords | 顎関節症 / 下顎運動 / 下顎頭骨変化 / 関節空隙 |
Research Abstract |
下顎頭全体の運動を把握するには1点のみでの解析では不可能であり,さらに実際の下顎頭と分析点の位置関係が変形性顎関節症者の場合,特に不明瞭であった.また下顎窩に対する下顎頭の3次元的な位置関係についての報告も少ない. そこで,下顎頭骨変化の有無により側方滑走運動時の切歯点と作業側下顎頭の運動様相は異なるのか,またその違いが下顎窩-下顎頭の骨関節間隙量に関係するのかを検討することを目的とした. ヘリカルCTからの下顎窩と下顎頭の形態データと顎運動装置からの運動データを重ね合わせ,顎関節の3-D表示のみならず,切歯点および作業側下顎頭の任意点の運動経路を表示,計測でき,また骨関節間隙量を経時的に計測できるシステムを作成した. 顎関節の臨床症状の無い者を対象とし,CT画像診断から下顎頭の骨変化なし群と骨変化あり群に分類し,運動測定,解析を行なった. その結果,側方滑走運動に着目すると,切歯路の水平面展開角度と作業側下顎頭の運動は,骨変化の有無と関連していることが明らかとなった.作業側下顎頭の運動様相は,骨変化なし群では位置変化の少ない回転型を示したのに対し、骨変化あり群では位置変化量の絶対値が大きく外側移動を伴う回転型、前方滑走型、後方滑走型を示した。また切歯路は水平面投影角度により群別でき、それぞれ下顎頭運動を反映しており,水平面展開角度の大小および経路を観察することで骨変化のスクリーニングに使用できる可能性が示唆された. また,骨変化あり群では,後方外側部の骨関節間隙量が大きい症例が多く,下顎頭の縮小,下顎窩の平坦化によると考えられた.靱帯等軟組織の弛緩に加え骨関節間隙量の増加により下顎頭の運動量が増加した可能性が考えられた. 今後,顎運動を誘導する歯の接触状態が,関節窩-下顎頭の近接部位と下顎頭骨変化部位と関係するかを検討することで,咬合治療の確立へと結びつくと考える.
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