Research Abstract |
21世紀の歯冠補綴治療は,コア,クラウン,ブリッジ,インプラント治療におけるアバットメント,上部構造などいずれの補綴装置をとっても,主に審美的観点からメタルフリーが主流になると考えられる.そのような中,現在インプラント体はチタン製が主流である.チタンは生体親和性が高く,今日まで金属アレルギーの原因になる可能性が極めて少ないと考えられてきた.しかし,近年チタンに感作された症例が報告され始めてきおり,今後歯科においてもインプラントを中心にチタンに対するアレルギーのリスクへの配慮が非常に重要となってくると考えられる. 本研究の目的は,セラミック材料のみによる<インプラント体-アバットメント-上部構造>の連結機構を確立し,さらにセラミック材料の生体への親和性を検討することにより,メタルフリーおよびノンアレルギー・セラミックインプラントシステムの開発につなげることである. インプラント治療を成功に導くには,インプラントと骨組織の強固な骨性結合,すなわちOsseointegrationが必要不可欠である.今回対象としたセラミックスであるナノジルコニアは生体適合性,生体親和性が良好で,高い機械的強度を有する審美的に優れたインプラント材料である.本年度は,ナノジルコニア上での細胞の初期接着,増殖,伸展,未分化間葉系細胞から骨芽細胞への分化ならびに石灰化について,In vitro実験系により分子細胞生物学的にチタンとの比較および検討を行うこととした.まずはじめに,表面性状の異なるセラミックス板およびチタン板を十分な検討を行ったうえで,同じサイズと形状で作製した.現在それらの試料を用いて,培養用プラスチックにて,各種細胞(C3H10T1/2,MC3T3-E1,Primary Osteoblast etc)を培養し細胞の初期接着,増殖,伸展,未分化間葉系細胞から骨芽細胞への分化ならびに石灰化について検討中である.本研究の結果よりナノジルコニア上でのOsseointegrationのメカニズムや生体反応を,骨芽細胞レベルで生物学的に解明した上で,インプラント体の試作が可能かどうかを検討してゆく予定である.
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