2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔咽頭のカンジダの病原性(定着作用)抑制機構の解明
Project/Area Number |
17791396
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大村 直幹 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50380077)
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Keywords | カンジダ / 共凝集 / デンチャープラーク |
Research Abstract |
誤嚥性肺炎に深く関係する咽頭の微生物叢とデンチャープラークを調査した結果,ほとんどの微生物が同時に検出され,関連性が認められ,採取したカンジダとブドウ球菌が同時に検出される傾向にあり,カンジダのような巨大な微生物が,病原性の高い微生物のリザーバーとなって,肺炎を起こさせやすい環境を作っている可能性を示唆した. そのような背景のもと,高齢者の口腔咽頭に特徴的なカンジダの病原性を解明するために,カンジダと他の病原性の高い微生物との共存させ,凝集性の検討を菌株数を増加させ行った. ブドウ球菌との凝集性を検討した結果,高率ではないが,共凝集をする株が存在した.また,ミレリーグループを含むレンサ球菌とも同様に凝集性を検討したが,その結果,ミレリーグループの一つであるS.intermediusと高率で共凝集する株が存在した.カンジダと共凝集したS.intermediusは,S.intermedius単独よりより厚いバイオフィルムを作製すると共にミノサイクリンに対する薬剤感受性を低下させた. また,カンジダと高率で共凝集を示したS.intermediusを使用して,celldesk上でデンチャープラークバイオフィルムモデルを作製し,CAE(アミノ酸系カチオン界面活性剤)を含む新しい義歯洗浄剤や市販の義歯洗浄剤,機能水に対する洗浄効果を比較検討した.その結果,CAEを含む義歯洗浄剤がカンジダ除菌に優れた洗浄効果を示した.カンジダは,ブドウ球菌やS.intermediusといった誤嚥性肺炎を引き起こす微生物のリザーバーとなっていることが十分に考えられ,今後もさらにカンジダの付着を抑制する研究が必要であると共に,これらの情報を要介護高齢者,その家族,介護者などに提供し,誤嚥性肺炎の発症を減少させるのも重要である.
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