Research Abstract |
今年度の研究では,インプラントアバットメントにおける,回転防止などのために付与されているグルーブなどの特殊形状が,CAD/CAMシステムでの計測・加工時に与える影響について検討した. 最初にアバットメント形状の三次元データ収集と蓄積を行うために,一般的な形状のインプラントフィクスチャー(SLAφ4.1mm RN 10mm, straumann, switzerland)を埋入した歯列模型を用意し,これにアバットメントを装着した状態の計測用模型を,DECSY SCAN (DIPRO(株),東京)で計測した.計測点群データは,極座表系で3°毎に回転して抽出した120断面のデータと倍の240断面のデータを作成し,DECSY (DIPRO(株),東京)にてセラミックブロックを加工後,レジンセメントでアバットメントに合着後,頬舌側中央と近遠心中央で二分割し,適合状態の評価を行った. 画面上では120断面と240断面のいずれの場合においても,マージンラインの形状はきれいに再現されていたが,120断面ではデータ抽出時の間隔が広いことから,軸面に不正な凹凸が多数見られ,軸面に付与されたグルーブの形状も本来の半円形ではなく,直線的に再現されてしまっていた.次に加工後のクラウンの適合では,240断面のデータで作製したものは,クラウン内面最深部の隅角において,グルーブ部分の形状を再現できずにぶつかってしまう所があったが,この部分をわずかに調整することで十分な適合を得ることが出来たが,120断面で作製したものでは軸面各所でぶつかり適合させることが困難であった. 今回240断面のデータを用いることで,計測データ上はインプラントの微小形状を再現することが可能ではあったが,最終的な加工の段階でツールの太さにより加工できない部分がある上,ツール先端部の砥粒の消耗が激しいため,適合性を向上するにはこの部分の改善も必要であった.
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