2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791413
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
武本 真治 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (70366178)
|
Keywords | チタン / チタン合金 / タンパク質 / 防食 / 表面修飾 / 電気化学 / 溶出試験 / 表面分析 |
Research Abstract |
チタンやその合金は、齲蝕予防剤に含まれているフッ化物により腐食や変色を引き起こすことが知られている。本研究では、タンパク質のような生体分子でチタンやその合金の表面を修飾することにより耐食性の向上、防食が可能か否かについて検討するものである。本年度は、フッ化物と生体分子としてタンパク質であるアルブミンを同時に含む溶液中でのチタンの溶出挙動およびチタン表面の分析を行うことによりチタンの耐食性におよぼす生体分子の効果を検討した。その結果、チタン表面にアルブミンが吸着することでフッ化物による腐食を遅延させる効果があることを明らかにした。また、溶液中に遊離しているアルブミンは、緩衝作用によりチタンを腐食するフッ化水素酸(HF)の生成を妨げることにより腐食の進行を遅延させる可能性を示唆した。 一方で、チタンを合金化することによりフッ化物に対する防食を検討するために、チタンにクロムを添加することでTi-Cr合金を作製し、その合金のフッ化物に対する耐食性を電気化学的腐食試験および静的溶出試験により評価した。その電気化学的腐食試験における結果では、チタンにクロムを合金化することで、フッ化物溶液中での自然電極電位が貴に移行し、耐食性の向上が認められた。また、Ti-Cr合金は合金中にクロム含有量の増加にともなって溶出するチタンおよびクロム量が減少し、電気化学的腐食試験の結果と同様に耐食性が向上することが明らかになった。 来年度以降に、純チタンのみならずTi-Cr合金等への生体分子固定によって、耐フッ化物性の向上を試みる。
|