Research Abstract |
睡眠中の生体現象の研究に必要とされる記録のための無線テレメータシステムは,多くの情報を記録できるが,受信装置が大がかりになるため,被験者を睡眠室もしくはそれに相当する部屋で就寝させなければならない.そこで,ポータブル記録装置による睡眠中の生体現象データからブラキシズムを抽出することとした.全身に臨床的な異常および側頭下顎障害の既往が認められず,自覚的,他覚的にbruxismの徴候・症状が認められる成人bruxist5名の夜間睡眠中の咬筋筋活動を無線テレメータシステムとポータブル記録装置とを用いてデータレコーダに同時記録した.無線テレメータシステムによる記録では,脳電図,心電図,眼球運動図,呼吸運動図も含めた.再生した記録から,無線テレメータシステムによるデータを基準にポータブル記録装置によるデータの筋活動とアーチファクトを識別し,それぞれパターン化してディスクに保存した.分析は,パターン化されたデータの振幅と持続時間について,筋活動とアーチファクトとの間で比較した.その結果,咬筋筋活動は,振幅が大きく,持続時間が長いパターンを示した.一方,アーチファクトは,振幅が小さく,持続時間が長いパターンと振幅が大きく,持続時間が短いパターンの両者がみられた.しかしながら,振幅が小さく,持続時間が長いパターンは,振幅が嚥下時の振幅よりも小さい場合が90%以上であり,振幅が大きく,持続時間が短いパターンは,持続時間が筋活動の持続時間よりも短い場合が90%以上であった.これらのことから,ポータブル記録装置は,生体現象データの振幅と持続時間を調べることにより,アーチファクトを90%以上除外できるレベルでブラキシズムを抽出できることが示唆された.
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