2005 Fiscal Year Annual Research Report
カラードップラー超音波断層法を用いた舌接触補助床の設計指標の開発
Project/Area Number |
17791416
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
萱中 寿恵 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (90366774)
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Keywords | 医療・福祉 / リハビリテーション / 癌 / 臨床 |
Research Abstract |
下顎,舌癌術後患者への舌接触補助床(Palatal Augmentation Prosthesis ; PAP)は、発音機能,嚥下機能の援助に有効であるとされている。今回,PAPが嚥下時の舌運動動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし本研究を行った。 (方法)対象は,日本歯科大学附属病院口腔介護・リハビリテーションセンターでRAPによる治療を行っている口腔癌術後患者2名である。症例1は,口底癌術後下顎欠損による軽度嚥下障害のある47歳・男性。PAPを2年半使用,その間本人希望によりリハビリテーションは行なわれていない。2年半経過し,本人希望により後方部まで厚みを延長したPAPを新製。症例2は,右下顎歯肉癌術後,顎欠損による嚥下障害と構音障害のある77歳・女性。PAP装着は1年半,その間,言語聴覚士によるリハビリテーションを施行。2例に対し,PAP装着時,未装着時において1ccの水を介助下にて口腔内に摂取させ,指示嚥下施行。姿勢は,上体垂直座位,頸部適前屈位。測定は,超音波診断装置(東芝メディカル社製Nemio 17)を用いた。画像描出方法は,前額描出法とし,超音波断層面が下顎左右第2小臼歯遠心面付近を通る断面に設定。データの統計処理の検定には,Wilcoxonの順位和検定を用いた。 (結果と考察)未装着時に比べ装着時では,陥凹時間が有意に長くなる事が認められた(p<0.05)。また症例2は,未装着時に比べ装着時において,陥凹深度が有意に浅い傾向が認められた。(p<0.0001)。PAP装着により,今回の対象者では嚥下困難感が改善した。口腔内の切除手術により口腔内容積が増加した患者では,PAP装着により適切な形態に修正されたことが,嚥下反射惹起前の食塊形成を容易したと考察された。H18年度はさらに対象者を増やしPAPの有効性について検討を重ねていく予定である。
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