2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己成分培養ゲルと自己骨トレーを併用した幹細胞移植による顎骨再生プロジェクト
Project/Area Number |
17791454
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
綿谷 早苗 Kobe University, 医学系研究科, 医学研究員 (50343265)
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Keywords | 顎骨再生医療 / PRP(多血小板血漿) / ASCs(脂肪由来間葉系幹細胞) / 細胞培養 / 骨欠損 / 骨移植 |
Research Abstract |
外傷や腫瘍切除で生じた顔面骨欠損や、歯周病などの炎症性歯槽骨吸収症例への適応を目指し、自家骨移植にかわる自己幹細胞を用いた骨再生医療の研究を行った。細胞培養の3要素となる(1)原材料には、ヒト由来脂肪由来未分化問葉系幹細胞(Adipose-derived stem cells,以下AdSCs)を使用し、(2)細胞成長因子には、ウシ血清にかわり自己多血小板血漿(platelet rich plasma:以下PRP)を使用した。このPRPの旺盛な骨分化促進能を明らかにするとともに、PRPを細胞培養液に添加する際、PRPに含まれるフィブリン成分を活性化させ、培地全体をゲル化することで、(3)細胞の足場(担体)という3つ目の条件を満たす安定した幹細胞の供給・移植技術を確立した。このように臨床応用に先駆けて、非自己因子や人工材料を使用しない、自己成分からなる安全な細胞培養法を構築したが、実際に臨床現場で患者個別のPRPを幹細胞の培養系に導入するためには、セルプロセッシングセンター(cell processing senter:CPC)などの無菌性環境整備が必須であり、CPCを持たないヒト臨床試験は不可能であった。そこで、PRPをウシ血清のように試薬として開発することを視野に入れ、本年度は非自己PRP(血小板製剤使用)の有効性について調べた。その結果、非自己・自己に関わらず、PRP添加培地では、幹細胞はウシ血清添加培地と比較し、ゲル内で小型の細胞が層状に密集した状態で増殖しており、AdSCsに対して旺盛な骨分化促進能を示した(ALP染色・アリザリンレッド染色ともに強染色)。しかし、凍結保存したPRPでは、培地をゲル化したものの、骨分化促進能は著しく低下した。凍結により失われるPRP骨分化促進能の有効成分を明らかにするべく、現在、分子生物学的に検討を加えている。
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