2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己成分培養ゲルと自己骨トレーを併用した幹細胞移植による顎骨再生プロジェクト
Project/Area Number |
17791454
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
綿谷 早苗 Kobe University, 医学研究科, 医学研究員 (50343265)
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Keywords | 再生医療 / 脂肪由来未分化間葉系細胞 / 多血小板血漿(PRP) / 骨再生 |
Research Abstract |
骨欠損部への培養骨移植を目的として、ヒト間葉系幹細胞を用いた骨再生医療の研究を行った。ヒト腹部脂肪組織より採取した未分化間葉系幹細胞(Adiposed-derived Stem Cell, 以下ASCs)を使用し、添加因子としてウシ血清のかわりにヒト多血小板血漿(platelet rich plasma : 以下PRP)を使用した。PRPはASCsの増殖を促進し、さらに翌日PRPに含まれるフィブリン成分の活性化により培地全体がゲル化した。しかし骨分化を目的とした長期培養中にゲルは薄い膜状になりシャーレ底部に付着し、剥離は困難であった。この問題を解決するため、さらに高濃度のPRPを添加し, ASCsを播種して培養した。わずか30分後に培地全体がゲル化し、翌日には細胞を取り込み丸く収縮した膜様物が培養液上に浮遊した。一週間後、膜はさらに収縮して小さな球状の凝集塊となり、蛋白分解酵素処理等を必要とせずに, 塊ごと細胞を容易に回収できた。骨分化誘導をかけずにそのまま培養したところ、2W後ALP染色でコラーゲンI強陽性、4W後アリザリンレッドS染色で豊富な骨基質の蓄積が確認された。塊は組織切片では、細胞と骨基質を含んだ膜がヒダ状に、複数層に折りたたまれた形状を呈した。FCS添加群では培地のゲル化、ならびに骨分化は認められなかった。他の骨分化促進添加因子を加えずPRP添加のみで明らかな骨分化を認めたことから、PRPそのものに強力な骨分化誘導効果があるものと示唆された。以上の結果から、高濃度PRPを再生医療に利用すると、自己成分を使用することで生体への安全性に優れ、培養液に添加するとASCsの増殖・骨分化を促進し、さらに細胞を含む培地の固形化を可能とすることから、安定した幹細胞の培養・移植技術におおいに役立つものと考えられた。
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Research Products
(2 results)