2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性口腔粘膜疾患の発症機構に関する細胞生物学的研究
Project/Area Number |
17791460
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 耕司 広島大学, 病院, 助手 (20335681)
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Keywords | 炎症性口腔粘膜疾患 / ケモカイン / 不死化細胞 |
Research Abstract |
口腔粘膜に発症する炎症性疾患には難治性で治療に苦慮する疾患が多い。扁平苔癬等の難治性炎症性疾患発症の過程には、粘膜上皮と上皮下組織に浸潤する白血球から放出されるケモカインの発現による白血珠遊走や、オートクライン、パラクラインを介した上皮間葉相互作用が関与していると考えられる.しかしながら炎症性口腔粘膜疾患とケモカイン発現の関与に関する報告は組織学的に行った研究がほとんどであり、細胞生物学的に行った研究は少ない。当教室はテロメララーゼ遺伝子を導入し、不死化させた口腔粘膜上皮細胞(RT7)、歯肉線維芽細胞(GT1)を樹立している.この細胞株を用いて,炎症性サイトカイン(INF-gamma, TNF-alpha)で刺激時のケモカインmRNAの発現を検討した.INF-gamma, TNF-alpha刺激による経時的発現パターンからケモカインを分類した.口腔粘膜上皮細胞,歯肉線維芽細胞ではINF-gamma, TNF-alphaの刺激によるケモカインの発現パターンが異なり,同一の細胞でもケモカインの種類によって発現誘導パターンが異なることが示された..両細胞においてINF-gammaの刺激によってCXCL9, 10, 11は他のケモカインと比較して著明な発現の増大を示した.両細胞ともにINF-gamma, TNF-alpha単独より同時刺激でさらにCXCL9, 10, 11mRNAの発現が増大し,刺激72時間でも定常状熊と比較して50倍以上の発現が持続した.以上の結果からCXCL9, 10, 11は慢性難治性炎症性疾患発症の過程に特に関与している可能性が示された.本研究の成果は第16回日本口腔粘膜学会総会(2006年6月30日,新潟)
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