2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生誘導因子と骨増殖因子の時間差徐放システムを用いた新規骨補填剤の開発
Project/Area Number |
17791483
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
古内 秀幸 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (80316398)
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Keywords | 生体材料 / Drug Delivery System / 骨再生 / bFGF / TGF-β1 / β-リン酸三カルシウム / 酸性ゼラチン |
Research Abstract |
口腔外科領域では顎骨再生の要求度が高い。例えば唇顎口蓋裂患者の顎裂部に対し腸骨などの自家骨移植が行われているが、こうした健常部への侵襲を避けるために優れた骨補填材の開発が望まれている。口腔は易感染性であるため異物として残存しない吸収性材料が安全であるが、従来型ではそれ自体に骨形成能がなく自家骨への置換に時間がかかり、感染リスクも抑えられなかった。 今年度は組織学的機序に基づき、早期に自家骨へ置換可能な顎骨再生法を開発するため、骨欠損部における再生初期の血管新生を要する時期に血管新生誘導因子であるbFGFを、またその後の骨芽細胞の増殖を要する時期に増殖因子であるTGF-β1を時間差で徐放可能な材料の試作を行っている。すなわち、酸性ゼラチン水溶液に種々の濃度のグルタルアルデヒドを加えゼラチンを化学架橋した。得られた架橋度の異なるハイドロゲルをグリシンで処理し、高架橋度ゲルにTGF-β1、低架橋度ゲルにはbFGFを含浸させた。このTGF-β1含浸ゼラチンハイドロゲルを溶解し多孔性β-リン酸三カルシウムブロックへ浸潤させた後、ブロック表面にbFGF含浸ゼラチンハイドロゲルを浸潤させハイブリッドブロックを作製した。 酸性ゼラチンの架橋度変化による生体内吸収速度の評価では、化学架橋を高度にすることにより吸収速度は遅延し、増殖因子の徐放を一定期間延長できる可能性が示唆された。しかし架橋度が過剰になると生体内に長期残存し、逆に骨再生を妨害する場合もあるため調整が重要と思われた。現在は家兎の骨欠損部に作製した材料を移植し、生体の経時的変化を観察している。また生体標本の質的評価としてParticle Induced X-Ray Emission Methodによる微量元素解析を試みており、この一部を第17回、国際口腔顎顔面外科学会(ウィーン.2005年)で発表した。
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Research Products
(1 results)