2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生誘導因子と骨増殖因子の時間差徐放システムを用いた新規骨補填剤の開発
Project/Area Number |
17791483
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
古内 秀幸 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (80316398)
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Keywords | 生体材料 / Drug Delivery System / 骨再生 / bFGF / TGF-β1 / β-リン酸三カルシウム / 酸性ゼラチン |
Research Abstract |
口腔外科領域は易感染性の環境であり、手術後の顎骨欠損を補填する場合、異物として残存しない生体内吸収性材料を用いるのが安全である。しかし従来型では骨形成能がなく、自家骨への置換に時間がかかり、感染リスクも抑えられなかった。この問題を解消するため、生体内吸収性を有するβ-リン酸三カルシウムにゼラチンハイドロゲルを複合させ、骨再生初期の血管新生を要する時期に血管新生誘導因子であるbFGFを、またその後の骨芽細胞の増殖を要する時期に増殖因子であるTGF-β1を時間差で徐放し、早期に自家骨へ置換可能な骨補填材の開発および、その再生に対する新たな評価法の検討を行っている。TGF-β1(0.1μg/骨欠損部)では比較的長;期の徐放を期待し、現段階において含浸させるゼラチンハイドロゲルは架橋度0.25%、含水率81.8±0.2wt%とした。 bFGFの投与量は臨床応用を考慮し、1.0〜10.0μg/骨欠損部とした。現在これを含浸させるゼラチンハイドロゲルの架橋度を検討している。また作製した材料を移植し骨再生を観察するため、対照群としてラットの頭蓋骨に形成した欠損を単純X線写真、骨塩量測定装置とマイクロフォーカスX線CT装置により経時的評価した。単純X線写真では8週後に不透過像の増加と辺縁不整な像を認めた。骨塩量では4週後2.12±0.84mm A1、8週後3.34±0.59mm A1の増加を認めた。マイクロフオーカスX線CTでは4週後に欠損部辺縁が丸みを帯び、8週後一部に骨再生が認められた。再生骨の体積は4週後0.42±0.06mm^3、8週後2.45±0.56mm^3であった。マイクロフォーカスX線CTは標本の摘出や軟組織除去などの前処置が不要で、特に微細な骨再生の評価に有用であった。この一部を第60回、日本口腔科学会総会(名古屋.2006年)にて発表した。
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