2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨・軟骨系におけるNO合成酵素とサーカディアンリズム関連遺伝子の作用解明
Project/Area Number |
17791488
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
安部 貴大 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20383250)
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Keywords | 時計遺伝子 / グルココルチコイド / 細胞周期蛋白 / 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / NOS |
Research Abstract |
骨組織へのグルココルチコイド(GC)の作用は,in vivoにおいて骨芽細胞のRunx2.I型コラーゲンなどの発現を抑制しアポトーシスを誘導する一方で,骨髄マクロファージの増殖がGC受容体を介して抑制されるごとが報告された.(Kimら2006).さらにその抑制効果は破骨細胞前駆細胞に作用して増殖を抑制し,細胞骨格制御を介して成熟破骨細胞の骨吸収活性も抑制することが示された.ところで,合成ステロイド剤を末梢臓器の初代培養系や細胞株に用いるとリズム発振が誘導されることや,生体への連続投与で行動リズムが撹乱されることが知られており,GCが糖代謝や抗炎症作用とともにリズム調節を末梢臓器に伝えるメッセンジャーとしての作用があることが明らかとなってきている.最近では,時計遺伝子mPeriod(Per)1プロモーターにGC応答領域があり,このサイトを介してmPer1の転写が制御されていることが明らかにされた(Koyanagiら2006).FuらはPer遺伝子KOマウスで骨量が増大することを報告し,時計遺伝子perの作用として,細胞周期蛋白cyclinD1の抑制を介した骨芽細胞増殖の抑制を,さらにRANKL発現を誘導することで破骨細胞活性を上げることなどを明らかにしたが(Fuら2005),本研究ではこれらの知見を踏まえ.GCの骨量減少が時計遺伝子制御を介して行われていることを確認するため,骨芽細胞株および間葉系幹細胞株を用いて時計遺伝子発現を検討している.現在,GCが時計遺伝子を誘導し細胞周期蛋白制御を調節することで骨・軟骨の増殖分化に作用するかなどを解析中である.また,NOがリズム発振を調節することやNOS活性にリズムがあることも報告があることから(Dingら1994,1997;Tunctanら2002),NOドナーや阻害剤を用いて時計遺伝子に影響するかなども検討予定である.
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