2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における循環血清free DNA(腫瘍)の検出とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
17791497
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山本 信治 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (60385185)
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Keywords | 口腔癌 / ヘテロ接合性消失(LOH) / plasma DNA / serum DNA / circulating DNA / free DNA / 全ゲノム増幅法(WGA) |
Research Abstract |
循環free DNA中における腫瘍LOHの検索は体内に潜む転移細胞の早期発見に役立つ可能性が示唆されている。本学では口腔扁平上皮癌におけるヘテロ接合性消失(LOH)に関する研究から多くのマイクロサテライト領域を同定してきた。本研究はこのLOHの局在情報を癌細胞の指紋と考え、循環血清中の腫瘍free DNA中における腫瘍LOHの有無を同一患者の正常組織DNAと比較し、口腔癌の転移や予後予測診断に有効な方法となり得るか検討した。 方法:東京歯科大学口腔外科を受診した10名の口腔扁平上皮癌患者から抽出した正常組織と腫瘍組織ならびに血清(術前と術後)DNAを用いた。得られたDNAについて、第2・3・21番染色体上に散在する9カ所のマイクロサテライト領域を全ゲノム増幅法(WGA)ならびにPCR-LOH法により解析した。 結果と考察:口腔扁平上皮癌患者の血清を試料とし、全ゲノム増幅法を用いて極微量なfree DNAを増幅し、その後PCR-LOH法を用いて癌に由来するDNAであることの検証を成功させた。その結果、腫瘍組織ならびに血清の10例全例で少なくとも1カ所の領域にLOHが認められた。最も高頻度にLOHが認められたマーカーは腫瘍組織ではD3S1079(3p13領域)で70%(7/10)、血清ではD21S11(21q21領域)で100%(6/6)であった。しかし、10例とも術後4週までに再発、転移は認められなかった。循環腫瘍細胞は血清中に腫瘍DNAの存在に関与する可能性があり、癌の転移や予後予測、早期診断のスクリーニング検査の有力な方法になり得る可能性があることを明らかにした。 今後は症例数を追加し大規模な分子生物学的解析を展開していく。
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Research Products
(2 results)