Research Abstract |
1.口腔扁平上皮癌由来細胞を用いたsyndecan-1の発現状態の検索 口腔扁平上皮癌由来細胞を用いてタンパクの発現状態の検索を免疫組織化学的染色で、mRNAの発現状況の検索を定量的リアルタイムRT-PCRにて行った。ヒト口腔扁平上皮癌細胞株はHSC2,HSC3,HSC4,Ca9-22,SAS,KB,BSCCの7株および,ヒト表皮keratinocyte由来細胞株HaCaTを用いた.蛍光抗体法でHaCaTにおけるsyndecan-1は,細胞間隙間に網目状に発現し,その濃度は一定であったのに対し,KB,SAS,BSCCでは,全体的に発現が弱く,網目状構造は崩壊し,完全に消失している部分も多く認められた.一方,Ca9-22では,細胞間隙間に強発現を示す部分が主体をなしているもの,わずかな発現を示す部分や発現を示さない部分が混在していた.定量的Real-time RT-PCR法においては,KBにおけるsyndecan-1のmRNAは,HaCaTと比較して,約1/6の発現を示した.一方, Ca9-22におけるsyndecan-1のmRNAは,HaCaTに対して,約2倍の発現を示した.KBは蛍光染色での全体的な発現量およびmRNAでの発現の著しい減少を示したが,syndecan-1の転写過程において何らかの異常が存在する可能性が示唆された.また,その著しい減少量よりsyndecan-1の低発現モデルになりうる可能性が示唆された.Ca9-22のsyndecan-1のmRNAにおける発現の著しい増加にも関わらず,蛍光染色では部分的な消失が認められたが,Ca9-22においてはsyndecan-1を破壊するheparanaseが高いという報告があり,部分的に破壊されている可能性が考えられた。 2.高発現モデルに対するSiRNAの導入 Syndecan-1を組み込んだsiRNAを高発現モデルに組み込み、浸潤能、増殖能、転移能、細胞周期の変化など細胞動態がどのように変化するのかを検索する。現在、スクリーニングを終了した細胞株にsiRNAを組み込んで実験を継続している。
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