2005 Fiscal Year Annual Research Report
唇顎口蓋裂の歯槽骨欠損部における間葉系幹細胞による骨・粘膜の同時再生に関する研究
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17791509
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 衛 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30374945)
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Keywords | 口蓋裂 / 間葉系幹細胞 / 骨再生 |
Research Abstract |
間葉系幹細胞およびscaffoldを用い口蓋裂骨欠損部に骨の再生を行うために、まず細胞培養条件を検討した。細胞培養に関しては、腸骨より採取した間葉系幹細胞をケンブリックス社のMSC培養メディウムを用い初代培養および継代培養を行い、移植に十分な細胞量である1.0x10^8個以上獲得できることを確認した。得られた細胞には問葉系幹細胞のマーカーであるSTRO-1が発現していることを免疫染色にて確認した。間葉系幹細胞の骨芽細胞方向への分化を誘導するために、DMEMメディウムに分化誘導因子を加え培養を行い、in vitroにおいて骨芽細胞前駆細胞に誘導することを試みたが、RT-PCR法を用いた解析においては骨芽細胞関連遺伝子の発現が上昇したもののアルカリフォスファターゼ活性の上昇は小さかった。細胞の骨芽細胞分化誘導については更なる解析が必要である。 イヌ口蓋裂モデルへの細胞移植については、まずPlatelet-Rich Plasma gel (PRP)をscaffoldに用いて実施した。この実験ではPRPが軟組織圧に耐えられず、骨再生もほとんど起こすことが出来なかった。in vitroの細胞培養実験において細胞を効果的に骨芽細胞方向に分化誘導できなかったためPRPは口蓋裂骨欠損部への足場材料としては不適正であると判断した。軟組織圧に耐えることができ骨誘導能も高い足場材料としてβ-TCPがある。β-TCPはPRPの弱点を補うことが出来ると考え、細胞移植の足場材料として移植実験を行った。移植後、X線写真による経過観察において明らかな骨再生が確認でき移植後15週の段階でほぼ顎裂部全域を骨様の不透過像で満たすことが出来た。現在組織学的評価を行うために実験動物を屠殺し組織標本を脱灰中である。
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