2006 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼筋への局所的遺伝子導入法を用いた筋機能改善とそれに伴う骨格性開咬の阻止
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17791511
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅崎 弘幸 東北大学, 病院, 助手 (30333826)
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Keywords | 局所的遺伝子導入法 / 咀嚼筋 / 非ウイルス / 開咬 / 顎顔面頭蓋 / 顎変形症 / IGF-1 |
Research Abstract |
本研究は、成長期開咬モデルラット咬筋への各サイトカイン遺伝子導入を行い筋発達を促すことで垂直的顔面パターンの増悪が抑制できるのではないかとの仮説の元、実験動物への局所的遺伝子導入実験を行い、仮説の検証を行った。 はじめにLoss of function実験系として成長期ラット(6週齢)に対し、片側咬筋に反復的IGF-1receptor siRNA発現プラスミド局所的遺伝子導入をHVJ-エンベロープベクター法を用いて行った。反対側にはempty vectorを導入した。導入側での咬筋成長・発育に関する影響ならびに下顎骨形態への影響を検索すべく、6週後に通法に従い屠殺し、咬筋重量測定、マイクロCT撮影装置を用いて下顎骨形態計測を行った。 咬筋重量は、反復的IGF-1receptor siRNA導入側において、コントロール側に比較して優位に低値を示し、肉眼的にも頬舌的厚みが減少していた。 マイクロCTを用いた下顎骨形態計測では、反復的IGF-1receptor siRNA導入側において下顎切痕後方部の下方への隆起量が減少しており、ヒトでの下顎角開大に類似した形態的特徴を示した。 組織学的検索は現在まだ行っていないが、上記の垂直的顎間関係に影響を与えるデータが出ていることからIGF-1受容体の発現ノックダウンと、それに伴う筋芽細胞増殖・分化抑制が生じていることが予想される。 次に、Gain of function実験系として反復的IGF-1発現プラスミド局所的遺伝子導入をHVJ-エンベロープベクター法を用いて行った。上記の反復的IGF-1receptor siRNA導入とはちょうど逆の結果が得られ、IGF-1が咬筋筋量の制御に大きな役割を果たしていることが観察された。 さらに、咬筋筋量を人為的に制御することで、垂直的顎間関係の制御も行える可能性が示唆された。
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