2005 Fiscal Year Annual Research Report
下顎前突症原因遺伝子の探索-候補遺伝子を絞り込む-
Project/Area Number |
17791545
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山口 徹太郎 昭和大学, 歯学部, 助手 (40384193)
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Keywords | 遺伝 / 下顎前突症 / ゲノム / 遺伝子 / 連鎖解析 / 関連解析 |
Research Abstract |
下顎前突症は矯正歯科臨床において治療の困難性から、原因、病態、治療法などについて幅広く研究されている。この中で下顎前突症が強い遺伝性を有していることが明らかとなっている。しかし、その原因となる遺伝因子については検討されていない。本研究申請者は、候補となる遺伝子が知られていないことから、下顎前突症の原因遺伝子について全染色体上を網羅的に探索した。その結果、第1染色体上に下顎前突症と連鎖を示す領域があることを発見した。この領域は約25cMという広いものであったが、特に骨、軟骨の成長、基質合成あるいは代謝に関与する遺伝子を検索した結果、3つの候補遺伝子を抽出した。下顎前突症の病態の理解、発症危険度予測など臨床応用のために、この候補遺伝子の絞り込みが必要と考えられた。この連鎖が認められた領域に存在する3つの候補遺伝子について1塩基多型(SNP ; Single Nucleotide Polymorphism)を用いた関連(case-control)試験により下顎前突症に相関を認める1塩基多型の発見を本研究の目的とする。この関連(case-control)試験解析は検出力の強さから数10〜100kbに検出範囲を求めることが可能である。そこで3つの候補遺伝子について1)プロモーター領域を含むエクソン内の翻訳;変異1塩基多型2)プロモーター領域を含むエクソン内の翻訳;非変異1塩基多型3)イントロン内の1塩基多型4)候補遺伝子間における代表的な1塩基多型の順に解析を行う。本年度においては、対象ヒトDNAの収集を終え、DNAの抽出およびプロモーター領域を含むエクソン内の翻訳;変異1塩基多型の解析を行っている。本研究結果から下顎前突症、下顎骨成長発育に関与する候補遺伝子を絞り込むことが可能となる。この絞り込みは原因遺伝子の同定を可能とし、小児歯科および矯正歯科臨床で必要とされる下顎前突症の病態の理解、発症リスクの予測診断法あるいは予防法の確立に応用されうる世界的にも他に類を見ないものと考えている。
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