2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織に存在する細胞に対する歯周病原性細菌LPSのRANKL誘導能の相違
Project/Area Number |
17791558
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 弘隆 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (70346914)
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Keywords | 歯周病原性細菌 / LPS / RANKL / 破骨細胞 / 骨吸収 |
Research Abstract |
歯周炎は歯周病原性細菌の感染によって引き起こされ、グラム陰性嫌気性桿菌のLipopolysaccharide (LPS)が、歯周病の発症に重要な因子であると認識されている。LPSは好中球やマクロファージといった炎症性細胞を活性化し、IL-1、IL-6,TNF-αなどの炎症性サイトカインを産生する。これまでの研究で、これらのサイトカインにより歯周組織に存在する様々な細胞が活性化され、破骨細胞形成を誘導することが明らかとなっているが、骨吸収性サイトカインを産生する細胞は数多く存在するため、その特定はできていない。近年、破骨細胞の分化と機能は骨芽細胞や線維芽細胞の細胞膜上に発現する破骨細胞分化因子(RANKL)によって厳格に調節されていることが明らかとなった。そして歯周病原性細菌のLPSが骨芽細胞や線維芽細胞のRANKL発現を促進することにより破骨細胞の分化を誘導することが明らかになっている。またT細胞もRANKLを発現し、可溶性RANKLを分泌することが知られており、炎症部位で破骨細胞の分化や機能の調節を行っていることが示された。これまでの研究で、歯周病原性細菌は菌種間でそのLPSの生物学的活性が異なることが報告されてきた。しかしながら各種歯周病原性細菌のLPS刺激により誘導された骨芽細胞や線維芽細胞、T細胞、B細胞のRANKL発現量の差異について報告した研究はない。本研究では各種歯周病原性細菌(A actinomycetemcomitans、P. gingivalis、T. forsythensis)由来LPSによって、線維芽細胞、骨芽細胞、T細胞、B細胞を刺激して、細胞膜上のRANKL発現を解析し、菌種間の相違について検討する。さらにLPSで刺激した際のRANKL発現量を細胞間で比較し、破骨細胞誘導を調節している細胞を検索する。 本年度はマウス大腿骨及び脛骨から骨髄細胞を採取後、M-CSF存在下で24時間培養し、非付着細胞を回収し、ストローマ細胞を除去した。回収した非付着細胞をM-CSF存在下でさらに2日間培養し、付着した細胞をBone Marrow Macrophage (BMM)とした。これに25ng/mlのM-CSFと50ng/mlのRANKLを添加して5日間培養し、破骨細胞を形成することを確認した。 次年度では精製した歯周病原性細菌(A. actinomycetemcomitans、P. gingivalis、T. forsythensis)由来LPSによって刺激した骨芽細胞および線維芽細胞の培地上清を回収する。 BMMにこれらの上清を添加し、形成された破骨細胞数を比較することで、LPSによって誘導されたRANKLの濃度の相違が破骨細胞形成に関係するかを確認する。
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