2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791562
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
武田 宏幸 明海大学, 歯学部, 助手 (40316691)
|
Keywords | スフィンゴシン1-リン酸 / 破骨細胞 / 歯周組織 / リン脂質 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1-リン酸は、血小板に多く含まれるリン脂質であり,血小板の活性化により放出されることが報告されている.スフィンゴシン1-リン酸は、間葉系細胞や血液系細胞に広く存在する受容体(P1S1、P1S2、P1S3、P1S4、P1S5)を介し細胞増殖や分化を誘導し,走化性物質としても機能する.これまでに,スフィンゴシン1-リン酸の細胞への作用としては,成熟破骨細胞の骨吸収活性を抑制することを明らかにした(Hiroyuki Takeda et al.,FEBS Letters 422,1998).また,スフィンゴリン脂質は,骨芽細胞の分化に働くことも報告されている.したがって,これらの知見は、スフィンゴシン1-リン酸は,骨芽細胞および破骨細胞の膜上の受容体を介して,骨の恒常性を維持・調節している可能性を示唆する.血小板が歯周組織の再生に働くことの機序については明らかにされていない.血小板に豊富に含まれるスフィンゴシン1-リン酸が骨組織を再生に導くことの治験が得られれば,血小板を歯周組織再生療法へ応用し得る可能性がある.したがって,本研究結果は,将来的な再生療法における創薬研究の基盤と成り得ると考える.そこで、本研究では、スフィンゴシン1-リン酸の骨芽細胞および破骨細胞における受容体を介した骨調節機構に着目した.研究初年度では,ヒト末梢血から破骨細胞を形成することを試みた.ヒト末梢血由来単核球を比重遠心で分離後,M-CSFおよびRANKL存在下で3週間培養し,成熟破骨細胞が形成されることを確認した.次年度では,これらヒト末梢血単核球のうちCD14陽性細胞を分離し実験に供する予定である.さらに,RANKL存在下で培養したマウス由来RAW264細胞の使用も同時に行い,未分化破骨細胞および成熟破骨細胞におけるスフィンゴシン1-リン酸受容体の発現を検索し,これらの細胞に対するスフィンゴシン1-リン酸の影響を明らかにすることを計画している.
|