2005 Fiscal Year Annual Research Report
デンタルプラーク細菌に由来するモデュリンの性状と感染制御システムとの関連性
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17791577
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田部 慎一 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40284301)
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Keywords | プラーク細菌 / モデュリン / プロテアーゼ / 歯周病 / GroEL / Campylobacter rectus / 唾液IgA / 生体防御因子 |
Research Abstract |
近年、Peptostreptococcus microsは歯周病関連細菌として注目を集めている。予備実験において、同菌がヒト歯肉線維芽細胞(HGF)に作用してサイトカインを産生することから、細菌性モデュリンの存在が示唆された。P.micros菌体には、プロテアーゼ活性を有することが知られているため、各種プロテアーゼ阻害剤を用いて調べた結果、P.micros菌体によるIL-6、IL-8の誘導をTLCK、Leupeptin、Pepstainは強く阻害した。また、菌体の加熱処理によりIL-6、IL-8の誘導は減弱した。これらの結果から、細菌性モデュリンとしてP.microsの有する酵素が関与していると考えられた。 一方、我々は、歯周病関連細菌由来GroELがHGFやヒト歯肉上皮細胞に作用してIL-6やIL-8を誘導するなど、モデュリンとしての生物活性を有することを報告している。唾液を検体として歯周病原細菌由来GroELに対する唾液IgA抗体の反応性をWestern immunoblottingにより調べた結果、Campylobacter rectus GroELおよびPorphyromonas gingivalis GroELは健常人と比較して、歯周病患者の唾液IgA抗体と有意に強く反応した。更に抗C.rectus GroEL IgA抗体を有する者の唾液から分泌型IgAを精製し、C.rectus GroELのHGFからのIL-6産生誘導能に対する影響を調べた。その結果、精製した分泌型IgAはIL-6の産生を抑制した。以上の結果から歯周病患者の唾液中に認められる抗GroEL IgA抗体は細菌性モデュリン(GroEL)に対する生体防御因子としての役割が示唆された。
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