2005 Fiscal Year Annual Research Report
高感度酸化物半導体においセンサーを用いた新しい口臭診断法の開発
Project/Area Number |
17791578
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋崎 義浩 九州大学, 大学院歯学研究院, 助手 (10291519)
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Keywords | 歯学 / 口臭 / においセンサー / 診断法 / 酸化物半導体 |
Research Abstract |
近年、健康志向の高まりや健康に対する価値観の複雑化などに伴い、口臭を主訴とする患者が急増しており、歯科診療においてもこのような患者に満足をもたらすことができる技術の向上が求められている。口臭レベルの判定には、古くから口腔内に発生する揮発性硫化物濃度(VSC)の測定が用いられているが、症例によってはVSCが高くても人の嗅覚による官能試験では口臭をそれほど強く感じない例も少なくないため、VSCのみで口臭の有無や性質を判断することには限界がある。本研究では、人では識別が難しい軽微なにおいの変化も的確に検知することで食品や香料などのにおいの品質管理に用いられている高感度酸化物半導体においセンサーを口臭の分析に応用して、新しい口臭の診断基準を確立することを目的としている。 まず、悪臭の指標としてよく用いられている揮発性硫化物を含む9種類の基準臭気物質に対して高感度酸化物半導体においセンサー内の特性が異なるにおいセンサー素子アレイが示す反応結果から、においの質の違いに対するセンサーの反応特性を調べた。さらに、実際の呼気サンプルについて官能試験によるにおいの評価およびガスクロマトグラフィーによるVSCの測定結果からVSCレベルの高低と官能試験の陽陰性に分類し、同サンプルを高感度酸化物半導体においセンサーで測定した。その結果、臭いセンサーから求めた臭気強度と官能値との間には、正の相関を示す傾向があったが、サンプル数が十分ではなく有意な結果ではなかった。 今後は、臨床的な呼気サンプルを増やしていくことで、様々な口臭に対する高感度酸化物半導体においセンサーの特性を把握し、従来の官能試験やVSCの評価と組み合わせることでより客観的で総括的な口臭評価を確立する予定である。
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